隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
「それはこちらのセリフです。よく『婚約者』だなんて嘘をつけましたね」
蒼乃は一歩も引くことなく、晶子の目をまっすぐに睨み返した。
晶子のガラス玉のように感情の起伏を欠いた瞳は、蒼乃の強い視線を受けても微塵も揺らがない。
「嘘だなんてひどいわ。今日、本当になるんだもの。ねえ、昂輝さん」
晶子はくすくすと笑いながら、蒼乃の隣に立っていた昂輝の逞しい腕に自分の手を滑らせ、親密そうに絡みついた。
しかし、昂輝はその接触を、不快感を露わにしながら力強く跳ね除けた。
「昂輝!」
その様子を見ていた叔父の敦輝が、表情を強張らせて大声を上げた。
ペコペコと晶子に向かって何度も頭を下げながら、昂輝を咎めるように睨みつける。
「すみませんねえ、晶子さん。身内の無礼を許してください」
「私にこんな態度をとって許されると思っているの? 百貨店の退店要請を取り下げてもらいたいんでしょう。それに……あの写真があるのよ」
晶子は声を一段と低くし、周囲に聞こえないような平坦な口調で淡々と脅しをかけてくる。
昂輝は無言のまま、ただその様子を冷ややかに見下ろしていた。
「……そう、なら仕方ないわね。あなたを婦女暴行で訴えるわ」
「訴えるのはこちらだ」
昂輝の口から、地を這うような重く黒い響きを帯びた声が漏れる。
その場の空気が一瞬にしてピリつき、ごく近くにいた客やスタッフの手が止まる。
昂輝は上着のポケットから小さな黒いICレコーダーを取り出すと、迷いのない手つきで再生ボタンを操作した。
『昂輝さん、ここまで来たくせに、女に恥をかかせる気?』
『部屋まで送って欲しいと頼まれただけですよ。ご要望通り、部屋の前まで送りました。これで失礼します』
『あなた、会社がどうなっても良いの? 社長なんだから、混乱の責任を取るべきだわ。今夜、私と一晩過ごしなさい。結婚するのよ私たち。そうすれば、私からパパに頼んであげる』
スピーカーから流れてきたのは、紛れもない晶子自身の甲高い声だった。
晶子の顔から瞬時に血の気が引いていく。
蒼乃は一歩も引くことなく、晶子の目をまっすぐに睨み返した。
晶子のガラス玉のように感情の起伏を欠いた瞳は、蒼乃の強い視線を受けても微塵も揺らがない。
「嘘だなんてひどいわ。今日、本当になるんだもの。ねえ、昂輝さん」
晶子はくすくすと笑いながら、蒼乃の隣に立っていた昂輝の逞しい腕に自分の手を滑らせ、親密そうに絡みついた。
しかし、昂輝はその接触を、不快感を露わにしながら力強く跳ね除けた。
「昂輝!」
その様子を見ていた叔父の敦輝が、表情を強張らせて大声を上げた。
ペコペコと晶子に向かって何度も頭を下げながら、昂輝を咎めるように睨みつける。
「すみませんねえ、晶子さん。身内の無礼を許してください」
「私にこんな態度をとって許されると思っているの? 百貨店の退店要請を取り下げてもらいたいんでしょう。それに……あの写真があるのよ」
晶子は声を一段と低くし、周囲に聞こえないような平坦な口調で淡々と脅しをかけてくる。
昂輝は無言のまま、ただその様子を冷ややかに見下ろしていた。
「……そう、なら仕方ないわね。あなたを婦女暴行で訴えるわ」
「訴えるのはこちらだ」
昂輝の口から、地を這うような重く黒い響きを帯びた声が漏れる。
その場の空気が一瞬にしてピリつき、ごく近くにいた客やスタッフの手が止まる。
昂輝は上着のポケットから小さな黒いICレコーダーを取り出すと、迷いのない手つきで再生ボタンを操作した。
『昂輝さん、ここまで来たくせに、女に恥をかかせる気?』
『部屋まで送って欲しいと頼まれただけですよ。ご要望通り、部屋の前まで送りました。これで失礼します』
『あなた、会社がどうなっても良いの? 社長なんだから、混乱の責任を取るべきだわ。今夜、私と一晩過ごしなさい。結婚するのよ私たち。そうすれば、私からパパに頼んであげる』
スピーカーから流れてきたのは、紛れもない晶子自身の甲高い声だった。
晶子の顔から瞬時に血の気が引いていく。