隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
「な、何よこれ、勝手に録音したの!?」
「音声記録は、自衛の基本ですよ」


 再生は止まらない。


『お断りします。あんたと結婚だなんて、冗談じゃない』
『このっ』


 パチン、と乾いた高音が響く。
 
 昂輝の頬を打ったのだろう。


『気が済みましたか。では、急ぎますので失礼します』
『この……バカにするんじゃないわよ! 覚えてなさい!』


 晶子のヒステリックな叫び声が、ブース内に鳴り響た。

 周囲の来客や御堂ジュエリーの社員たちが、何事かと固唾を飲んでこちらの様子を見守り始める。

 晶子は顔面蒼白になりながら、声を震わせる。


「ね、捏造よ! AIで音声を作ったんでしょう、私の声に寄せて……私たち、一晩一緒に過ごしたわ。私、あなたに襲われたのよ!」

 
 その見苦しい足掻きをあざ笑うように、昂輝はさらに胸ポケットから数枚のプリントされた写真を取り出した。


「では、証拠としてこちらをどうぞ。あのホテルの防犯カメラの映像から抜き出した画像です。あなたが証拠として差し出したあの写真、あれと同じ状況を防犯カメラで追ったものです」


 昂輝は複数枚の写真を晶子に投げつける。

 叔父はそれを拾い上げると、まじまじと見つめた。


「22時15分、確かに、エレベーターで共に客室階へと上がりました。そして22時19分、同じエレベーターで一人でフロントまで下がる俺の映像が写っています。防犯カメラですから、時刻が表示されていてわかりやすいですね」


 周囲にいた人々がじりじりと集まり始め、ブース全体のざわめきが急速に大きくなっていく。


「もう一枚は、ホテルの車寄せの画像です。ポーターに車を回して貰ったときのものですね。22時25分、そのまま、ホテルを後にしています。チップも渡したので、彼はこの時のことを覚えていてくれましたよ」


 写真は、叔父の手から社員の手に、そして来客たちの目にも触れる。


「客室階に留まったのはたったの4分。4分で、部屋に押し入って俺があなたを襲ったと?」
「……っぐ」


 晶子が言葉に詰まった瞬間、敦輝叔父さんが慌てた様子で二人の間に割り込んできた。


「もう良いだろう、昂輝。女性を相手にそんなに詰め寄らなくても……」


 昂輝の瞳の奥にあるどす黒い光は、叔父にも向けられた。


「あんたは黙っててくれ」
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