隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~

「ママ」


 そっと引かれる感覚に、蒼乃は視線を下ろした。

 隣にいる輝の手が、蒼乃のスカートをきゅっと引っ張っている。


「ん、なあに?」


 蒼乃は膝を折り、小さな輝の目線に合わせて顔を近づけた。

 輝は周囲を気にするように少し声を潜め、こそこそ話をするような仕草で口元を寄せた。


「パパ、かっこいいね」


 にこにこと、満面の笑みを浮かべる我が子を見つめ、蒼乃は微笑む。


「そうね、パパかっこい……え?」


 言葉を返しかけて、その意味の重さにハッと目を見開く。

 驚きのあまり、喉の奥が引き攣るようだった。

 なぜ輝がその言葉を口にしたのか、状況が理解できない。


「輝、あの、どうしてパパだって……」
「ひいじいが、おしえてくれたの」


 輝がすぐ隣に立つ祖父の匠を指差した。

 すると祖父は、慌てた様子で両手を振って否定した。


「こらこら、輝くん。全部話さないとダメじゃろう。ひいじいがママに怒られるぞ」


 祖父は困ったように眉を下げ、白髪の頭を掻いた。

 蒼乃は、まだ状況を飲み込めずにいる。

 そこへ、顧客たちへの挨拶を終えた昂輝が、長い足を動かしてこちらへ歩いてきた。


「あ、パパ!」

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