隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~

 混乱を極めた会場からようやくマンションの自室へと帰宅すると、即座に、昂輝は蒼乃の前に進み出た。

 迷いのない大きな動きでフローリングに片膝を突くと、上着のポケットから、一箱の小さなジュエリーケースを取り出して捧げたのだ。


「蒼乃。俺と、結婚して欲しい」


 開かれたケースのベルベットの上で、信じられないほど繊細なカッティングを施された青い石が、室内の灯りを浴びて静かに瞬いていた。


「これ、もしかして……」


 蒼乃は驚きに唇を震わせ、彼の手元を見つめた。


「うん。あの石のカケラだ。はじめは、こっちが気に入ったんだよ。蒼乃にプロポーズする時は絶対にこのサファイアにしようって、すぐに決めた。あんまり綺麗だから、同じ鉱脈の石をついでにいくつか見たんだけど、そこで見つけたのが、あのサファイアだ」


 五年前、渡されるはずだった愛の証明。


 蒼乃が確かに自分の手で磨き、輝かせたサファイアと同じ石。

 昂輝はそれを、大切に、大切に保管し続けてくれていた。


「五年越しに、やっと渡せた。……蒼乃、返事を」


 昂輝の熱い眼差しが、真っ直ぐに注がれた。

 祖父と、輝がにこにこと見守ってくれている。


 蒼乃は溢れそうになる涙を手の甲で何度も拭い、言葉にならない声を上げながら、彼の広い胸の中へと飛び込んだ。


「よろしくお願いします」


 固く抱きしめられたその腕の強さと体温が、五年の空白を埋めた。
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