隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
会社を巡る情勢も、昂輝の確かな主導のもとで急速に落ち着きを取り戻していった。
事件後、七井百貨店の社長から公式な謝罪の場が設けられ、不当な撤退要請はすべて白紙撤回される。
しかし、昂輝はその申し出に甘んじることはしなかった。
東京と大阪の二店舗のみを残し、他の七井百貨店からは引き揚げたのだ。
代わりに、業界大手の四越百貨店への新規出店が決定した。
宝飾フロアリニューアルの好機に合わせ、まず京都に。続けて、一挙に五店舗の展開を成し遂げる。
さらに、福岡や札幌といった地方都市にも、路面店を復活させる形で新たな拠点を次々と構築していった。
七井の時のように、ひとつの場所と組めば、たしかに利益を得やすい。しかし、それは共に依存するリスクもはらんだ利益だ。
経営者として、昂輝はバランスを取り戻す方向へと舵を切った。
御堂敦輝と七井晶子は、裁判にむけて、現在も取り調べが続いている。
敦輝に関しては、実刑を免れられないだろう。
御堂の買い付けルートを隠れ蓑にして、個人の口座を使い、海外の麻薬組織のマネーロンダリングを手伝っていたことが明るみになっている。
その手順も悪質だ。
親族一同、彼とは完全に絶縁の処置をとっている。
七井晶子については、百貨店の社長である父親が、彼女の精神的な疾患の判定を勝ち取ろうと多大な資金を投じて奔走している最中だった。
もしかすると執行猶予という形になるかもしれない。
だが、あちらの家もこれ以上、御堂に牙を向く気力は残されていないだろう。
風の噂では、晶子は結果が決まり次第、世間の目から逃れるように海外へ移住する予定だという。
執拗に蒼乃たちを脅かした影は、もう二度とこの場所に近づくことはできない。