隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~


 話が呑み込めない。


「おめでとうございます。妊娠されていますよ」


 時間が止まったかのように、周りが静かになった。

 看護師の言葉が、すぐには頭の中で結びつかない。けれど、じわりとお腹の奥から確かな熱が広がっていくのを感じる。


「……子供」


 声に出す前に、涙が視界を潤した。


 工房の問題。

 先行きの不安は消えなかったが、それ以上に、大好きな彼との繋がりが自分の内側に宿っているという奇跡のような喜びが、蒼乃の胸を溢れんばかりに満たしていく。


「パートナーさんとは、話し合えそうですか?」


 指輪を付けていない左手を見ながら、看護師が尋ねる。

 蒼乃は、潤んだ瞳のまま、笑顔を返した。


「はい、大丈夫です。きっと喜んでくれます」


 電話をしようか……


 一瞬、浮かんだ考えを、蒼乃は改める。

 来週末、昂輝と会う約束をしている。その時に、この小さな命のことを伝えよう。そう、決めた。


 直接、昂輝の顔を見ながら伝えたい。彼が喜ぶ顔を見たい。


 
 その瞬間のことを想像し、蒼乃はクスリと笑った。


 まだ平らかな、何の変化も見られないお腹にそっと手のひらを当て、蒼乃は、愛おしさを噛み締めた。








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