隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~


「おじちゃん、めっ」


 小さな両手を広げ、昂輝をまっすぐに睨みつけているのは小さな男の子だ。


 短く切り揃えられた髪、きゅっと結ばれた強い意志を感じさせる口元。そして何より、昂輝と全く同じ、少し灰色がかった瞳。


 昂輝の手が、空中でぴたりと止まる。


 その身体が雷に打たれたように硬直していくのを、蒼乃は間近で見つめていた。昂輝の顔から見る見るうちに血の気が引いていく。


 知られてしまった。

 絶対に知られてはいけない、蒼乃の大きな秘密が……。

 蒼乃はぐっと奥歯を噛み締めると、小さな息子を自分の方へ引き寄せ、冷たい声で言った。


「とにかく、あなたとはもう何の関係もありませんから。お引き取りください」


 昂輝の唇が小さく戦慄き、言葉を失ったように子供を見つめている。


 ひったくるように息子を抱き上げ、蒼乃は走った。

 追いかけてくる気配はしない。

 しかし、蒼乃は走り続けた。両腕に下げたスーパーの買い物袋が四方に揺れ、ガサガサと鳴る。

 腕の中の息子は、何かを察したかのように、黙ったまま蒼乃にしがみついた。

 息が切れ、口の中に血の味が広がる。

 それでも、蒼乃は、走ることを止めなかった。









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