隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
第9話:家族
「らいおんさん、どこー?」
小さなリュックを揺らしながら、四歳の輝は隣を歩く日向陽介を見上げて、元気に声を張り上げた。
まばゆい春の陽光が、動物園の入り口に集まる無数の家族連れを賑やかに照らしている。
色とりどりの風船や楽しげな歓声が響き渡るなか、白河蒼乃は、目の前を歩く二人の姿に自然と目元を和らげていた。
「ちょっと待ってな。ライオンは……ほら、あっちの大きな木がある向こう側みたいだぞ」
保育士の日向陽介が、慣れた手つきで園内の案内マップを広げて指をさす。
輝はその大きな手を見上げながら、本当の父親を相手にしているかのように無邪気になついていた。
陽介の大きな手をぐいぐいと引っ張りながら、輝は振り返って弾んだ声を上げる。
「マーマー! はやくはやく!」
「はいはい、今行くから。輝、そんなに走ったら転んじゃうわよ」
輝の屈託のない笑顔につられるように、蒼乃の口元からも自然と笑みがこぼれる。
興奮した輝に合わせて、一緒に走ったり歩いたりしてくれる陽介の優しさに包まれながら、三人は賑やかな人混みの中を進んでいった。