隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
「うわああああん!」
猛獣エリアに着くと、早々にライオンが大きなあくびをした。
ついでに控えめな鳴き声を放ったのだが、その低く地を這う声によほど驚いたのか、輝が突然大泣きしてしまう。
周囲の観光客が驚いて振り返るほどの泣き声に、蒼乃は慌てて駆け寄ろうとする。
しかし、それよりも早く、隣にいた陽介が輝の前にしゃがみ込んだ。
「よしよし、怖かったな」
陽介は輝を抱き上げると、その背中をぽんぽんと叩く。
泣きじゃくる輝の涙を大きな手で拭いながら、ライオンの檻の前から離れた。
スンスンと鼻をすする輝をどうにか宥め、次に、ゾウの展示エリアへと向かう。
大きな運動場では、二頭のゾウがのんびりと鼻を動かしていた。
大きな身体の母親ゾウが、自分の足元で動き回る小さな子ゾウを、長い鼻で包み込むようにして守っている。
陽介の腕の中で涙を引っ込めた輝が、目を丸くして指を差した。
「わあ、おっきぃぃぃ」
「本当だ、大きいねぇ」
「ぞうさんのおはな、ながいの!」
小ゾウはチョロチョロと、母親の周りを歩き回る。少し離れたところに、もう一頭の大きなゾウがいた。
「向こうにいるのが、お父さんゾウさんだって、輝くん」
案内板に気づいた陽介が、刺し示しながら輝に教える。
すると子ゾウは、父親のところへ駆けて行き、また母親のところへ戻り、ぐるぐると繰り返し駆け回った。
「すごーい」
「ははは、輝くんみたいに元気なゾウさんだね」
陽介は快活に笑い、輝の頭を優しく撫でる。
そのやり取りを見ているうちに、蒼乃は、自分の胸に温かい充実感が満ちて行くのを感じていた。