隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
昼時になると、園内の芝生広場にレジャーシートを広げる。
蒼乃が朝早くから起きて作った、卵焼きや唐揚げが詰まった手作りのお弁当箱を並べた。
「いただきまーす」
三人の声が重なり、賑やかなお弁当タイムが始まった。陽介は自分の前に置かれたお重を見て、嬉しそうに目を細める。
「ありがとうな、俺の分も用意してくれて。大変だったろう?」
「気にしないで。こちらこそ、貴重な休日を輝に付き合ってくれてありがとう。いつも園でもお世話になっているのに」
「何言ってるんだよ。俺が輝くんと遊びたくて勝手についてきたんだからさ」
陽介は唐揚げを美味しそうに口へ運ぶ。
輝が少しお野菜を残そうとするのを父親のような口調で嗜めたり、冗談を言って笑わせたりした。
その姿は、蒼乃にとって、何物にも代えがたい安らぎを与えてくれるものだった。
食事の終わり際、陽介がいたずらっぽい目を輝かせ、デザートのパックへ手を伸ばす。
「お、うまそう。もーらい」
真っ赤な苺をつまもうとした陽介の前に、輝が小さな両手をめいっぱい伸ばす。
「先生、めっ! ごはん、ごちそーさまのあとだよ!」
「たしかに、デザートはご馳走様のあとだな。ごめんごめん」
陽介はわざとらしく大袈裟に頭を下げる。輝は誇らしげに胸を張った。
微笑ましいやり取りを見つめながら、蒼乃は心の底から声を上げて笑う。
夕暮れ時。空がオレンジ色から紫へと移り変わるグラデーションになった頃、三人は白河家のアパートへ戻った。
輝は遊び疲れてしまい、陽介の腕の中ですっかり眠り込んでしまっている。
小さな寝息を立てる輝を、陽介は少しも重そうな素振りを見せず、古い木造アパートの二階にある部屋まで大切に抱っこして運んでくれた。
申し訳なさと、ありがたさでいっぱいだ。
輝を布団に寝かせると、蒼乃はお茶を入れてもてなそうとしたが、やんわりと断られた。
帰るという陽介を見送るために、静かにアパートの外へと出る。