隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
赤いテールランプが見えなくなった頃、張り詰めていた糸が切れ、蒼乃は膝から崩れ落ちそうになった。
陽介が素早く、蒼乃の肩を抱きよせるようにして支える。
身体の震えが止まらない。
昂輝がやって来たことによる混乱と、いつか輝の存在まで知られてしまうかもしれないという恐怖が押し寄せ、思考がまとまらない。
「蒼乃、大丈夫……じゃないか」
陽介の低く落ち着いた声が、耳元に届いた。
蒼乃は彼の腕に支えられたまま、弱々しく首を振った。
「ごめん、ありがとう陽介」
「立ち入ったことを聞いて申し訳ないけど、もしかして輝くんの……」
陽介の視線が、輝が寝ているアパートの部屋へと向く。
蒼乃は声が出ず、ただ無言で、小さく頷くことしかできなかった。目元が熱くなり、涙がこぼれそうになるのを必死に堪える。
「でも、輝のことは知らないの。多分」
かすれた声でそれだけを告げると、陽介は黙った。
すっかり温度の変わった夜風が、二人のほんのわずかな隙間を通り抜けていく。
陽介は支えていた蒼乃の肩からそっと手を離すと、今度は彼女の両手を、自身の大きな掌で包み込むようにしてきつく握り締めた。
昂輝の纏っていた凍りつくような冷たさとは対照的な、陽介の男らしい確かな熱が、蒼乃の肌に直接伝わってくる。
陽介は真っ直ぐに蒼乃を見つめ、瞳を決意に光らせ、いつになく落ち着いた声で口を開いた。
「俺と、結婚しないか?」