隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
処置室には、眠る輝と、蒼乃と昂輝だけが残された。
昂輝は、静かに寝息を立てる輝の顔をじっと見つめている。その切れ長の瞳には、少しの焦燥感と、労わるような暖かな慈しみが浮かんでいた。
蒼乃は膝の上で指をきつく絡ませ、沈黙を破るように声を出す。
「……ありがとうございました。抱えて走ってくださって」
「いや、当然だ」
昂輝の声は低く、どこか掠れていた。
彼は視線を輝から外さないまま、ゆっくりと、一つ一つ言葉を紡いでいく。
「ひかるくん、と言ったか」
もう、逃げようがない。さっき医者が名前を呼んだ。蒼乃は逃げ場を失ったことを悟った。
心臓が痛いほど脈打つ。
蒼乃は、コクリと小さく頷く。
「四歳だな」
遮るもののない事実が突きつけられる。蒼乃は喉の奥を詰まらせながら、ためらいの後に再び頷いた。
昂輝はゆっくりと視線を輝から蒼乃へと移し、確信に満ちた、けれど酷く切ない声で言った。
「……俺の、俺と蒼乃の子だ」
蒼乃はそれ以上、首を振ることも、言葉を否定することもできなかった。
重い沈黙が、処置室の空気を満たしていく。
それが、昂輝にとっての確たる答えだった。