隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
カシャン。
小気味よい音が響き、二人は静かに乾杯する。
「そういえば、自己紹介もしていなかったですね。改めまして、白河蒼乃です」
ビールを一口飲んでから、蒼乃は自己紹介をした。
「ああ、すみません、名乗りもせず。昂輝です。御堂昂輝」
「御堂さんは、山梨の方ですか?」
「いいえ。東京からやってきました。宝石関係の仕事をしているんです。それで、勉強も兼ねて」
少し照れたように笑いながら話す彼の横顔に、蒼乃は素直に好感を抱いた。
宝石関係の仕事。要するに、売る人だろう。
そんな人がわざわざ研磨体験に来てくれることはまれだ。
勉強だと言って、一日がかりでいくつも石を磨く。そんなことをする人に、蒼乃はこれまで出会ったことがなかった。
「どうでした?」
「楽しかったです。すごく。石の硬度についてはもちろん知っていたけれど、実際に削ってみると本当によくわかりますね。フローライトやソーダライトは磨きやすかったけれど、最後のクオーツには苦労した。あんなに硬いだなんて思わなかったよ」