隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
石について話すうちに、だんだんと打ち解けてくる。
お互いの好きな石の話、カットの形、原産国、歴史。知識の深い彼と話すのは、とても楽しい。
蒼乃の知らない話を、彼はたくさん聞かせてくれた。
特に、採掘作業までしに行った話は興味深く、彼の苦労話に笑ってしまう。
彼の瞳には、ただ純粋に石を愛する情熱だけが灯っていた。
「昔、すごくキレイな石を磨いているお祖父さんがいたんだ。石と向き合いながらお祖父さんが磨く石を、俺は世界で一番美しいと思った。でも、研磨師はすごい仕事をしているのに、その評価は低い。大切に削られた石が、そこそこの値で買われ、宝石店ではプレミアをつけて売られる。こんな商売をしてはいけないと思ったよ」
山並みに、燃えるような夕日が映る。
オレンジ色の光を頬に受けながら、彼は熱っぽく語った。
「あの宝石を正しく評価して買い取りたい。価値のわかる人に売りたい。そうすれば、あのお祖父さんの技術の素晴らしさが伝わる。そうやって、腕のある人を盛り上げたい。それが俺の夢になった」
熱い想いを語る彼の声が、工房の古い木壁に優しく反響する。
彼は、今度はまっすぐに蒼乃を見つめ、問いかけた。
「蒼乃さんの夢は?」
蒼乃は少し照れくさそうに、けれど誇りを胸に微笑んだ。
「うちのお祖父ちゃんみたいな、研磨師になること。お祖父ちゃんも研磨師なんです。石を、世界で一番輝く形で世に出すの。魔法使いみたいな……」
「素敵な夢だね」
彼の表情がふわりと和らいだ。
二人の間に、魂が深く共鳴するような、温かで心地よい空気が流れていく。
蒼乃は、この人なら自分のすべてを理解してくれるかもしれない、と胸の奥で小さな灯火が点るのを感じていた。