隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
「……信じていいのか、わかりません」
蒼乃は首を横に振った。
あまりに突然の真実に、頭が追いつかない。手先が冷たくなっていく。
昂輝は、静かに頷いた。
「俺が馬鹿だった。もっとよく調べれば、蒼乃のおじいさんが及川さんなんだと気付けたはずだ。知っていれば、あんな強引に買い取らなくても、すぐに事情を話して、融資ができた」
昂輝は自嘲するように目を伏せた。
その表情には、『氷の宝石商』と呼ばれた鋭さも冷たさもない。ただ一人の、自身の不甲斐なさを心から恥じる男の顔がそこにあった。
「信じ、られない……そんなこと、今更……」
「わかってる。すぐに信じてくれなくていい。俺が話したかっただけだ。……もう、後悔したくないから」
遮るように紡がれた昂輝の言葉には、自分を正当化しようとする意図は感じられない。
ただ真実を差し出し、蒼乃からの裁きを黙って待つような、静かな覚悟が滲んでいる。
「……及川さんには、連絡した?」
不意に投げかけられた祖父の名前に、蒼乃は息を呑んだ。
小さく、首を横に振る。
「連絡してあげてほしい。すごく心配している。それに、会いたがってるよ、蒼乃に」