隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
 サンセットサファイヤ。

 あの名の宝石のような、濃いオレンジ色を増した夕光が、輝いている。その光が、昂輝の美しい横顔を鮮やかに染め上げている。

 蒼乃は、缶を持つ手がわずかに震えるのを止められなかった。


 自分の夢や、祖父から受け継いだ技術の価値を、これほど深く聞いてくれる人に人生で初めて出会えた。

 その奇跡のような幸福感に、胸の高鳴りが止まらない。


 彼も、きっと同じ気持ちだ。

 蒼乃には、わかった。


 二人の間で、言葉がふと途切れる。

 彼がビールの缶を置き、蒼乃の方へと向き直った。


 ただ、夕暮れの風が木々を揺らす音だけが聞こえる。

 彼の大きな手が、ゆっくりと、ためらうように蒼乃の頬に触れた。


「あの……御堂さん」
「昂輝」


 彼が小さく呟いた。その声は、わずかに震えている。

 優しく触れられた手から、確かな温もりが伝わった。蒼乃の身体からすっと力が抜けていく。

 見つめ合う二人の距離が、吸い寄せられるように縮まっていく。


 どちらからともなく唇を重ねた。


 それはひどく甘く、心の奥深くまで染み渡るような、一生消えることのない誓いのような感触だった。


「……こう、き」
「蒼乃……」


 夕光のなかで交わした初めての口づけ。

 この温かなキスが、これから先も永遠に続く幸福の始まりの合図なのだと、この時の蒼乃は疑いもなく信じていた。
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