隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~

第17話:ずっと前から



「ママみて、キラキラなの」


 昂輝と並んで玄関の格子戸をくぐると、工房の奥から力強く駆けてくる足音がした。

 蒼乃が「ただいま」と声をかけるよりも早く、輝が、顔を上気させながら全力で突進してきた。

 その小さな両手には、包み込むようにして何かが握られている。

 輝は、かがんだ蒼乃の膝の上で、誇らしげにその手のひらを大きく広げてみせた。


 輝の手のひらの上で、宝石たちが一斉にまたたく。

 磨かれたばかりの色とりどりのルースだ。

 吸い込まれそうなほど深い紫のアメジスト、新緑のように鮮やかなエメラルド、夕日の破片を閉じ込めたようなシトリン。



 どれも祖父が、世界中から集められた原石に、その手で命を吹き込んできた石だ。

 宝石としては値の付く商品にはならない部分を、アクセサリーや数珠のパーツ用に加工する作業も請け負っている。
 これはその一部だろう。


「ひいじいのだよ。ひいじいすごいの、石がね、こーんなぴかぴかになるんだよ!」


 輝は短い指で精一杯の大きな円を描きながら、興奮を抑えきれない様子で声を弾ませる。

 祖父の職人としての技が、小さな子供の心を虜にしてしまった。蒼乃はしゃがみ込み、輝の手のひらにそっと触れる。


「すごいね、ひいじいはキラキラのお石をたくさん持ってるのね」
「ひいじいって、まほうつかいみたいだね」


 魔法使い。


 輝の口から飛び出したその無邪気な言葉に、蒼乃は笑ってしまう。

 昔、自分も同じように感じ、だからこそ研磨師になった。


 ふと隣を見上げると、昂輝がこちらをじっと見つめていた。

 その瞳には、言葉にできないほど深い慈愛の色が見て取れる。愛おしくてたまらないという風に目元を和らげ、熱い眼差しを我が子へと注いでいる。



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