隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~

第20話:怒涛



 約束の朝、アパートの前に滑り込んできたのは、見慣れたシルバーグレーのセダンだ。

 磨き上げられた車体が朝の光を弾いている。


 運転席から降りてきた昂輝は、いつもの仕立ての良いスーツではなく、動きやすそうなベージュのチノパンに上質なニットを合わせていた。


「おはよう。晴れたな」
「おはよう」


 蒼乃は輝にも挨拶を促すが、頑なに口を結んだままだ。

 昂輝は苦笑して、蒼乃と、その後ろに隠れるようにして立つ輝に歩み寄る。少し緊張した面持ちで後部座席のドアを開けた。

 蒼乃は目を見張る。

 落ち着いた黒い革張りの座席に、高級な椅子のようなどっしりとしたシートが据え付けられていたのだ。

 通気性の良さそうなメッシュ素材と、頭部を左右から深く包み込むような頑丈なプロテクター。

 機能美を追求したその佇まいは、彼の妥協のない審美眼をどこか連想させた。


「これ、ぼくのせき?」


 それまでぷいと顔を背けていた輝が、見たこともない立派なシートを前に、目を輝かせた。


「レンタルしてくれたの?」
「いや、買ったよ」
「買った?!」


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