隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~
辿り着いたのは、都心の中心部にそびえ立つ、有名なタワーマンションだった。
有無を言わせぬ存在感を放つエントランスを抜け、高速エレベーターで上層階へと昇る。
蒼乃たちが一歩足を踏み入れると、輝は目の前に広がった光景に驚きの声を上げた。
靴を脱いで、部屋へ走り込む。
「わぁ、ひろーい」
リビングの大きなガラス窓の向こうには、まるで宝石箱をひっくり返したような、眩いばかりの東京の夜景が果てしなく広がっている。
輝は窓辺に駆け寄り、ガラスに小さな額を押し当てるようにして外を見つめた。
「ママみて、ひいじいの石みたい」
きらきらと明滅する街の光の中に、山梨の工房で見た裸石の輝きを見出したのだろう。
屈託のない言葉に、蒼乃の強張っていた心が少しだけ解き放たれる。
「こっちの客間を二人で使って。何でも、自由にしてくれていいから」
昂輝が廊下の先にある広い客間のドアを開けた。
そこには、布団を三枚繋げたくらい大きなベッドが鎮座していた。シーツも、毛布も整えられている。
ベッドが置かれてもなお、床に広々としたスペースがある。ラグが敷かれ、柔らかそうなクッションも置かれていた。
書き物をする机と椅子。
広々としたクローゼットには、ハンガーだけが吊るされている。
「わあ、ベッドだ!」
「こら輝、ぴょんぴょんしないのよ」
途端にベッドへ飛び乗る輝を、蒼乃は慌ててたしなめる。
そんな二人のやり取りを見つめていた昂輝がすくすく笑う。彼もまた、ようやく張り詰めた緊張が抜けたようだった。
「よかった。元気が一番だ」