隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~

 震える声でそう告げると、昂輝はゆっくりと、体を離す。

 じっと蒼乃を見つめると、絞り出すように話した。


「ごめん、きっと俺のせいだ」
「え?」
「誰だかはわからない。でも、誰かから恨みを買うとしたら、きっと俺だ。蒼乃たちじゃない」


 昂輝のその誠実な言葉を聞いた瞬間、蒼乃の胸の奥で、せき止められていた記憶が溢れ出しそうになる。

 誰だか分からない、のではない。

 自分たちの居場所を知り、輝の写真を持ち、一億円という有無を言わせぬ手段で脅迫してきた人物に、自分は昨日、会っている。


 七井晶子。


 すべては彼女の、計算された策略の一部なのではないか。

 思い違いかもしれない。しかし……。

 今こそ、あの女のことを昂輝に話さなければならない。蒼乃は、心を決めた。


「あの、あのね、昂輝……」


 蒼乃が意を決して唇を開きかけた。





ーーブブッブ





 テーブルの上で、昂輝のスマートフォンが激しい着信音を鳴り響かせた。


「おっと、警察かな? ……いや、秘書だ。少し、ごめん」


 昂輝は表情を引き締めると、通話ボタンを押して耳に当てた。

 スピーカーから漏れ出る秘書の焦った声が、ただ事ではないと蒼乃に知らせる。

 受話器の向こうの言葉を聞くにつれ、昂輝の顔から見る見るうちに血の気が引いていった。


「どういうことだ?!」


 昂輝は立ち上がり、デスクの上に置いてあったノートパソコンを開く。

 峻厳な表情で画面を凝視する彼の視線の先を、蒼乃も後ろから恐る恐る覗き込んだ。


 青白い液晶の光に照らされた画面には、ネットニュースの衝撃的な見出しが躍っていた。



『クリーンでエシカルを謳っている御堂ジュエリー。国際的に禁じられた「紛争ダイヤモンド」を売買か?! 大儲けの、その非道な手口』



「そ、そんな……」


 蒼乃の肺から、一瞬にして空気が抜けていく。


 御堂ジュエリーの根幹を、そして会社の未来を揺るがすような、最悪のスキャンダルだった。
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