隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~

第22話:戦い抜く



「では、否定をされるのですね、御堂社長?!」


 記者の放った鋭い声が、マイクを通じて壁に跳ね返る。

 天井を埋め尽くすほどの強烈なフラグメントのような白い光が、幾重にも重なって昂輝の視界を真っ白に染め上げた。

 無数のフラッシュが放つシャッター音が、まるで激しい雨音のように会見場に鳴り響いている。


 御堂ジュエリー本社。その大会議室で、記者会見の場が設けられた。

 昂輝は背筋を厳格に伸ばし、正面のレンズの群れを見据えている。迷うことなく、声を張った。


「はい。全面的に否定します。わが社では創業以来、恒久的な国際平和を支持してまいりました。戦争資金への流入につながるようなダイヤモンド、いわゆる紛争ダイヤを買い付けた事実は一切ございません。該当記事にあるような、アフリカ方面某国からの直接の輸入も、仲介人を介しての違法な輸入も、全く、行った事実はございません」


 毅然としたその言葉に、会場の空気がわずかに張り詰める。

 だが、すぐに別の記者が手を挙げ、貪欲な声を響かせた。


「警察からの聴取があったのは事実ですか?」
「はい、任意での聴取を求められましたので、応じました。わが社が買い付けたすべてのダイヤ、それ以外の宝石も、全て買い先がハッキリしたものです。概ねご納得いただけたとの回答も、すでにいただいております」
「どの程度まで、資料を提示できますか?」


 疑うような視線が昂輝の顔に集中する。

 昂輝はわずかも怯むことなく、確固たる事実だけを突きつけるように言葉を繋いだ。


「いわゆる『宝石』として値の付くものは、全ての産地、販売元を表示できます。それ以外のものーージュエリーではなくアクセサリーとして使う単体では価値のつきにくい石は、一部、ドイツやアメリカでのミネラルショーにおいて、袋単位や箱単位でまとめて購入する物もあります。しかし、それこそ、キログラム数万円も行かないようなものです。当然、それらの領収書類の提出もできます」


 また別の記者から、質問が飛ぶ。


「ですが、火のないところに煙は立たず、とも言います。社長御自身が把握できていないだけでは?」


 揚げ足を取ろうとする意地の悪い問いかけに、昂輝は首を横に振った。

 その瞳には、自らの目で最高品質の石を選び抜いてきた宝石商としての矜持が宿っている。


「ないですね。買い付けた品にはすべて、私自身が目を通しています。このような、まったく身に覚えのない噂が出た経路については、現在調査中です」


 隙のない態度で疑惑を退けていく昂輝だったが、会場を包む空気は依然として厳しいものだった。

 フラッシュの光の向こう側にある無数の瞳には、どこか面白がるような、あるいは組織の統率不足を暗に指摘するような不穏な色が混ざり合っている。




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