隠し子が発覚したら『氷の宝石商』の独占欲に火がつきました~5年越しの執念で見つけ出され、逃げ場のない溺愛で囲い込まれています~



 会見を終えた直後、息つく暇もなく開かれた役員会議の空気は、さらに重く沈んでいた。

 警察への身の潔白の証明は順調に進みそうなものの、ネット上での噂の拡散とマスコミからの執拗な疑い、それに伴う株価の暴落は歯止めがかからない状態だ。

 長年、会社を支えてきた年配の役員たちが、机の上で指を組み、弱気な声を漏らし始める。


「会長は療養中だが、一旦、表に出てきてもらうしか……」


 先代である昂輝の父の影を求めるその言葉に、会議室の端に座っていた叔父の御堂敦輝(みどうあつき)が静かに口を開いた。


「俺が兄貴を説得してみよう」
「常務……しかし」


 昂輝は眉をひそめ、叔父を見つめる。

 自らの代で起きた危機を、療養中の父の威光を借りて収めることは、自身の経営者としての資質を完全に否定されることと同義だ。

 拒絶の言葉が喉まで出かかったが、敦輝の視線は厳しかった。


「今は、社長のプライドなど気にしている場合ではない。御堂ジュエリーの事を考えれば、兄貴に復帰してもらうのが一番良い。とにかく、兄貴と三人で話そう」


 昂輝はぐっと奥歯を噛み締め、拳を握りしめる。


 少し前の自分であれば、己の実力を証明し、プライドを守るために徹底的に反発していたかもしれない。

 しかし、今の自分には、家で帰りを待っている蒼乃と輝がいる。

 自分一人の意地で、あの二人と会社を危険や中傷の的として晒すわけにはいかないのだ。

 組織の長としての、そして一つの家族を守るべき男としての自身の無力さに、昂輝の胸の奥は激しい悔しさで満たされていった。








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