冷徹御曹司との運命の再会 〜隠していた双子ごと愛されました〜
 ホテルの部屋に入ると、千恵のアパートよりも広い空間が二人を迎えてくれた。

「ここ、スイートルームってやつでは?」
「そうだな」
「今日は一体どうして……」

 仕事で日中会えなかっただけで、ここまでするとは思えず千恵が不安そうに尋ねると、篤史は一瞬だけポカンとした後、ふっと吹き出した。

「今日、誕生日だっただろう? お誕生日おめでとう」
「え? ……あっ! ありがとうございます」

 すっかり忘れていた千恵は、慌てて頭を下げた。
 今まで祝ってくれる人などいなかった千恵にとって誕生日は特別な日でもなかった。

(こんな風にお祝いしてもらえるもの?)

 ただ年を取っただけなのに、と不思議な気持ちだった。

「本当に忘れてたのか。だったらもっと早く渡すべきだったな」

 篤史はそう言いながら小さな箱を取り出した。
 手のひらサイズのそれを渡され、千恵は篤史の目をじっと見つめる。

(これは……)

「開けてもいいですか?」

 千恵の声は小さく少しかすれていたが、篤史は優しく頷いた。
 そっと開けると、そこには小さなダイヤモンドが散りばめられた指輪がキラキラと光っていた。
 篤史が指輪を持って千恵の右手を取る。

「今はまだ、こちらに嵌めておこう」

 そう言って薬指に指輪を嵌める。
 千恵は手をかざして指輪を確認すると、そのまま手を伸ばして篤史に抱きついた。

「嬉しい……ありがとうございます」
「はは、熱烈だな。喜んでもらえて良かった」

 篤史が笑いながら千恵を抱きしめる。
 温かい体温が千恵を包み込んだ。

「何かお返しをしますね。篤史さんの誕生日は……まだ先ですよね。もっと早く……」
「気にするな。これは自分へのプレゼントでもあるから」

 篤史は口角を上げながら千恵に右手を見せつけた。彼の指には千恵と同じデザインの少し太めの指輪が嵌められていた。

「あ、おんなじ……いつの間に」
「これを見たら、いつでも千恵のことを思い出せるだろう?」
「そうですね。いつも篤史さんがそばにいてくれる気になります」

 二人は顔を見合わせて笑い合うとそっと唇を重ねた。


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