冷徹御曹司との運命の再会 〜隠していた双子ごと愛されました〜
翌日、目を覚ました千恵は自分の身体の重さにげんなりした。
(風邪……? でも熱はないし気のせいね)
昨日は皆に気を使って休ませてもらったのだから、今日こそ働かなくては。
失恋ごときで休んでいる場合ではないのだから。そう思っていた――。
「千恵ちゃん、昨日より顔色が悪いわ。そんなフラフラで仕事をするつもり?」
まごころでいつものように開店準備をしようとすると、明美に腕を掴まれた。
「あの、でも働かないと……。それに熱はないですし、ちょっと車酔いみたいな感じでフワフワしているだけなんです」
千恵がそう返すと、明美の顔がさっと青くなった。
「ちょっと、今日は臨時休業よ。千恵ちゃん、ついてきて」
「え、明美さん!?」
千恵は目を丸くしたが、有無を言わせぬ明美に強い力で腕をぐいぐいと引かれタクシーに乗せられたのだった。
千恵が連れてこられたのは婦人科だった。
「妊娠していますね。胎嚢(たいのう)が二つ見えるでしょう? 心拍も二つありますから双子でしょう。三ヶ月過ぎているでしょうから、役所で母子手帳を二冊もらってきてくださいね」
医師の言葉に頭が完全にフリーズする。
「双子……ここに?」
白い丸が二つあるエコー写真を渡され、診察が終わった。隣に明美がいなければショックで気を失っていたかもしれない。
千恵はもう限界だった。
まごころに戻ってくると、千恵は明美に抱きついた。
「明美さん」
「ど、どうしたのよ?」
「私……」
千恵はここ数日の出来事を洗いざらい明美に吐き出した。
涙で声が詰まっても、明美はだまって聞いていた。
「だからもう、私たちは終わったんです……」
千恵が全てを吐き出すと、明美は背中を優しくさすってくれた。ずいぶん長いことそうしていたが、ふと明美が口を開いた。
「もう一度、緑川さんと話してみたら? 本人と直接話した訳じゃないんでしょう?」
優しい声の提案に、千恵は思わず縋りそうになったが首を横に振った。
「会社のためだって言われたんです。もう会うことはないって、忘れてほしいって言われたんです。それなのに子供ができたなんて……これ以上篤史さんの負担になることは言えません」
言われてきたことをくり返していると、だんだんと冷静になってくる。終わってしまったことを嘆いても仕方がない。
(私は、この子達を育てる責任がある)
先程まで存在すら知らなかったのに、もう何があっても守りたいという気持ちが芽生えていた。
「それじゃあ、千恵ちゃんはこれからどうしたい?」
「私、一人でもこの子達を育てます。東京を離れてひっそりと三人で暮らします」
明美の目を見てまっすぐ伝えると、明美は目に涙を浮かべながら微笑んだ。
「千恵ちゃん、いつの間にか強くなっちゃって……。貴女がそのつもりなら協力するわ! 千恵ちゃんにぴったりの仕事、ちょっと心当たりがあるの。妹が働き手を探しててね。軽井沢での仕事なんだけど」
「本当ですか? 是非紹介してください。私、なんでもやります!」
千恵が勢い良く身を乗り出すと、明美が千恵を抱き締めた。
「滅多に会えなくなるわね」
「落ち着いたら会いに来ます。明美さんも来てくれますか?」
「当たり前でしょ! まずは双子が無事生まれるまで、うざったいくらい世話しますからね!」
二人は泣きながら笑い、きつく抱き締め合った。
(風邪……? でも熱はないし気のせいね)
昨日は皆に気を使って休ませてもらったのだから、今日こそ働かなくては。
失恋ごときで休んでいる場合ではないのだから。そう思っていた――。
「千恵ちゃん、昨日より顔色が悪いわ。そんなフラフラで仕事をするつもり?」
まごころでいつものように開店準備をしようとすると、明美に腕を掴まれた。
「あの、でも働かないと……。それに熱はないですし、ちょっと車酔いみたいな感じでフワフワしているだけなんです」
千恵がそう返すと、明美の顔がさっと青くなった。
「ちょっと、今日は臨時休業よ。千恵ちゃん、ついてきて」
「え、明美さん!?」
千恵は目を丸くしたが、有無を言わせぬ明美に強い力で腕をぐいぐいと引かれタクシーに乗せられたのだった。
千恵が連れてこられたのは婦人科だった。
「妊娠していますね。胎嚢(たいのう)が二つ見えるでしょう? 心拍も二つありますから双子でしょう。三ヶ月過ぎているでしょうから、役所で母子手帳を二冊もらってきてくださいね」
医師の言葉に頭が完全にフリーズする。
「双子……ここに?」
白い丸が二つあるエコー写真を渡され、診察が終わった。隣に明美がいなければショックで気を失っていたかもしれない。
千恵はもう限界だった。
まごころに戻ってくると、千恵は明美に抱きついた。
「明美さん」
「ど、どうしたのよ?」
「私……」
千恵はここ数日の出来事を洗いざらい明美に吐き出した。
涙で声が詰まっても、明美はだまって聞いていた。
「だからもう、私たちは終わったんです……」
千恵が全てを吐き出すと、明美は背中を優しくさすってくれた。ずいぶん長いことそうしていたが、ふと明美が口を開いた。
「もう一度、緑川さんと話してみたら? 本人と直接話した訳じゃないんでしょう?」
優しい声の提案に、千恵は思わず縋りそうになったが首を横に振った。
「会社のためだって言われたんです。もう会うことはないって、忘れてほしいって言われたんです。それなのに子供ができたなんて……これ以上篤史さんの負担になることは言えません」
言われてきたことをくり返していると、だんだんと冷静になってくる。終わってしまったことを嘆いても仕方がない。
(私は、この子達を育てる責任がある)
先程まで存在すら知らなかったのに、もう何があっても守りたいという気持ちが芽生えていた。
「それじゃあ、千恵ちゃんはこれからどうしたい?」
「私、一人でもこの子達を育てます。東京を離れてひっそりと三人で暮らします」
明美の目を見てまっすぐ伝えると、明美は目に涙を浮かべながら微笑んだ。
「千恵ちゃん、いつの間にか強くなっちゃって……。貴女がそのつもりなら協力するわ! 千恵ちゃんにぴったりの仕事、ちょっと心当たりがあるの。妹が働き手を探しててね。軽井沢での仕事なんだけど」
「本当ですか? 是非紹介してください。私、なんでもやります!」
千恵が勢い良く身を乗り出すと、明美が千恵を抱き締めた。
「滅多に会えなくなるわね」
「落ち着いたら会いに来ます。明美さんも来てくれますか?」
「当たり前でしょ! まずは双子が無事生まれるまで、うざったいくらい世話しますからね!」
二人は泣きながら笑い、きつく抱き締め合った。