冷徹御曹司との運命の再会 〜隠していた双子ごと愛されました〜
 午前中からたっぷり遊んだ子供達は、いつもよりすんなりとお昼寝をしてくれた。
 千恵は二人が眠っている間に細々としてた家事を片付けていく。
 窓の外では激しい雨が打ち付けているのに、家中がシンとしているのは不思議な気分だった。

「静か……」

 そう呟いた時、玄関の呼び鈴が鳴った。

(こんな日に誰かしら?)

 千恵が急いで出ると、そこにはびしょ濡れになった男性が折れた傘を差しながら立っていた。

「ここは宿泊施設でしょうか? もし空きがありましたら、一晩泊めていただきたいのですが……」
「びしょ濡れじゃないですか! とにかく入ってください。今タオルを持ってきますから!」
「ありがとうございます」

 低い声の男性が申し訳なさそうに頭を下げる。髪の毛からもぽたぽたと雨水が滴っていた。

(あれじゃあ風邪引いちゃうわ。急がないとっ!)

 小走りでタオルを取って戻ると、男性は濡れた髪をかき上げていた。

「これを使ってくださ……い」
「……千恵、なのか?」

 目の前の男性と目が合った途端、時間が止まったかのようだった。

「篤史さん」

 彼の名前をそっと口にすると、蓋をしていた記憶が一気によみがえってきた。

「どうして千恵がここに?」

 目を丸くしている篤史がブルリと震えた。千恵は我に返ると彼にタオルを押し付ける。

「と、とにかく拭いてください。それからシャワーを。着替えはお貸ししますから!」

 千恵はぐちゃぐちゃな思考を一旦隅に寄せて、まずはゲストハウスの管理人として動くことにした。
 篤史をぐいぐいと浴室に押し込むと、男性用の着替えを用意する。そして濡れた床をきれいに拭き上げたところで、へなへなと床に座り込んだ。

(どうして篤史さんがここに?)

 ドキドキとうるさい心臓を押さえ込む。浅くなった呼吸を整えようと深呼吸をすると、奥の部屋から「ママ?」という声が聞こえてきた。

「おきたー。ママ?」
「おやつたべたーい! きょうのおやつなあに?」

 二人の声にハッとして振り返ると、子供達が目を擦りながら起きてきたところだった。

「あれ? しらないカバンがある。おきゃくさまきたの?」
「え? どこどこ? わあ、ほんとだ!」

 二人は篤史のカバンを見つけると、目を輝かせた。

「えーっと、お客様っていうか……雨宿りに来た人がね」

 千恵が歯切れ悪く答えたが、二人ははしゃいであまり聞いていない。

(どうしたらいいの?)

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