冷徹御曹司との運命の再会 〜隠していた双子ごと愛されました〜
『と、とにかく拭いてください。』

 数年ぶりに再会した千恵は上品さが増しており、思わず視線が捕らわれるような美しさだったが、優しいところは相変わらずだった。
 門前払いするのが当然である過去の男にも甲斐甲斐しく世話をし、宿泊までさせてくれた。

 当時のことを話すと、彼女は驚いていた。やはり間違った情報が伝わっていたようだった。
 やはり父が関与していたのだろう。どうしようもない怒りが沸き上がる。
 だが確かな証拠はない。それに父の交渉術がそこまで優れているとも思えない。頭ごなしに命令するか金の力に頼ったはずだ。それを千恵が鵜呑みにするとも思えなかった。

(あの時、もっと追及していれば……。誰かが父に手を貸したのか? もしかして八乙女か……?)

 八乙女は篤史の秘書だが、父の命令ならば従う可能性もある。過去のことを思い出すと腸が煮えくり返りそうだったが、一度洗い直すべきだと決意した。

(今は過去のことより目の前の千恵だ)

 せっかく会えたのだ。
 本当は今すぐ抱き締めたいが、許されないのならば、せめて彼女の今を知りたかった。

(再会できたのは運命、なのかもしれないな。子供がいたのは驚いたが……)

 シングルマザーとして子供を育てていると聞いたとき、わずかな違和感があった。彼女が何かを隠している。そんな気がしていた。
 そこから千恵のことをよく観察していると、彼女の表情の変化に気づいた。篤史が子供達と戯れていると、本当に幸せそうに微笑むのだ。そしてその後、少し寂しそうに唇を噛む。

 そして『俺達の子か』と最初に尋ねたときの反応で確信した。

(この子達は、俺のと子だ……)

 最初、千恵が隠したいのなら、それを尊重するつもりだった。父親になれなくとも、支援する方法はいくらでもある。彼女の思うようにさせるのが一番だ。

 しかし玄関で四人が映る鏡を泣きそうな顔で見つめていた千恵を見て、考えを変えた。

(千恵が苦しむなら話は別だ!)

 二度目の答えは肯定だった。泣きながら謝る彼女を見ていると胸が締め付けられる。

 もっと早く探し出すべきだった。
 もっと早く千恵に会うべきだった。

 そんな後悔を飲み込んで彼女を抱き締めた。

(三人は俺が幸せにする。今度こそ誰にも、運命にも邪魔させない)

 篤史は心に固く誓ったのだった。
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