冷徹御曹司との運命の再会 〜隠していた双子ごと愛されました〜
 翌週、千恵は死人のような顔色で篤史の到着を待っていた。

「ママだいじょうぶ……?」
「おかお、まっしろよ」

 湊斗と紬の心配そうな眼差しに目頭が熱くなる。

(ごめんね。もう篤史さんと会えなくなっちゃうけど、ママがその分二人を幸せにするからね)

 湊斗と紬をぎゅっと抱き締めると、二人は安心したように笑い声をあげていた。
 二人の笑顔にほっとため息をついていると、呼び鈴が鳴った。篤史が来てしまったのだ。

「あつしさんだ」
「きたー!」

 千恵が止める間もなく、二人が玄関に走り出す。

(どうしよう……)

 行きたくない。けれど、もうそこに篤史がいる。泣きたい気持ちを抑え、玄関へと向かった。
 玄関では篤史が湊斗と紬を抱き上げていた。

「久しぶり。先週は来れなくてすまない。ちょっと仕事が立て込んでしまって」
「お、お忙しいんですね」
「そうでもない。今日は丸一日休暇だし、明日の午前までは余裕がある。……どうしたんだ? 体調が悪いのか?」

 千恵の異変に気づいた篤史が子供達を降ろし、一歩、千恵に近づいた。
 反射的に千恵は後ずさる。

「あの! しばらく篤史さんはここに来ない方が言いと思うんです」

 口から出た言葉は想像以上に大きく、目の前の三人が固まっている。

「ほらっ、毎週来るのは大変でしょうし、交通費もバカになりません」
「別に大変ではないし、そんなこと気にしなくてもいい」
「で、でもっ……! か、家族じゃないのにゲストハウスに頻繁に来られると、お客様も気になると思うんですっ」

 思ってもいない言葉が次から次へと滑り落ちてくる。目をぎゅっと閉じるが、千恵はもう自分にも止められなかった。

「迷惑なんです! も、もう来ないでくださいっ」

 気がつくと千恵は叫んでいた。
 シンとした沈黙が流れる。
 千恵が目を開けると、篤史がまっすぐな瞳でこちらを見ていた。

「……分かった」

 それだけ言うと、篤史は玄関から出ていった。
 ぼんやりと彼のいなくなった扉を見つめていると、子供達が千恵の手に触れた。

「ママ? どうしたの? あつしさん、かえっちゃったよ」
「けっ、けんかはダメなんだよー! うわああん!」

 紬が泣き出すと、湊斗も半べそのように唇をへの字にした。

「ごめんね。ごめんね……」

 千恵は座り込んで二人に謝ることしか出来なかった。


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