冷徹御曹司との運命の再会 〜隠していた双子ごと愛されました〜
「篤史さん! どうして……」
「どうしても会いたくなって。迷惑だったか?」

 息を切らした篤史が不安げに千恵を見つめるものだから、千恵は思わず彼に抱きついた。

「迷惑だなんてあり得ません。会えて嬉しいっ……!」
「俺も」

 ぎゅっと抱き合っていると、後ろから「パパ!」という声が聞こえてきた。
 振り返ると湊斗と紬が廊下を走ってくるのが見えた。
 篤史と共に二人を抱き締めると、彼らは興奮した様子で篤史にしがみついた。

「どうしてパパいるの?」
「へいじつなのに!」
「皆に会いたくて来たんだ。記者会見をテレビで観てくれたんだろう?」

 篤史がにこにこと微笑むと二人は何度も頷いた。

「みたー! パパすごい!」
「かっこよかったー!」
「ありがとう。頑張ったから嬉しいよ」

 篤史が靴を脱いで二人を抱き上げると、二人は無邪気に笑った。

「今日は泊まっていかれますか?」
「あぁ。明日は早朝に出るけどな」
「じゃあせっかくなので、子供達とお風呂に入りますか?」
「良いのか? よし、じゃあ今日はパパと入るか」

 篤史がそう言うと、子供達は篤史に顔をぎゅっと近づけて喜んだ。

「おふろーやったー!」
「あのね、あとでおてがみもあるのよ」
「手紙? それは楽しみだな」

 三人がお風呂場へ向かう姿を後ろから追いかける。

(あぁ、四人で暮らしているみたい。なんて幸せなんだろう)

 千恵は幸せを噛み締めた。

 
 その日の夜。子供達が寝静まった後、千恵と篤史はリビングで肩を寄せあって座っていた。

「今日はお疲れさまでした。とっても素敵でした。私もルティナを買いたくなりました」
「双子を育ててきた千恵にそう言われると嬉しいな。買おうか?」
「ふふっ、実は免許を持っていないので、まずは取得しないとですね。でも運転出来たらお客様の送迎とかも出来るようになりますし、挑戦しようと思います」
「そうか。俺も協力するよ。事前に日程を組めばリモートでも働ける。今日みたいに移動時間にリモート対応が出来れば、平日でも来られることが分かったし」

 篤史の表情は疲労感より充実感に満ちていた。だから千恵は「そんな無理しなくても……」という言葉を飲み込んだ。

(そんなこと百も承知よね)

「私の方も仁美さんと相談して休める日を調整します。でも、本当に無理な時は頼りにしてます。篤史さんもたまには頼ってくださいね。私達だって、東京まで行こうと思えば行けます!」

 小さく拳を掲げると、篤史は嬉しそうに目を細めた。

「ありがとう。実は近いうちに来てもらおうと思っていたんだ」
「本当ですか?」

 いつですか、と詳しく聞こうとすると、篤史は千恵の手をそっと握った。

「その話はまた後でいいか? 少し充電させてくれ」
「充電?」

 千恵が戸惑っていると、篤史は千恵にゆっくりと近づいてそのまま口づけをした。
 そのまま抱き締められると、彼の心臓の音が速くなっているのが感じられた。

「あ、篤史さん?」
「いつもは子供達に取られてしまうから。もう少しだけ」

 低くかすれた声が千恵の耳を優しく揺らす。千恵は抱き締める腕に力を込めた。

「わ、私も充電したいです」

 それから二人は、気が済むまでずっと抱き合っていた。
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