冷徹御曹司との運命の再会 〜隠していた双子ごと愛されました〜
5平和な日々
それから数週間後、千恵達は東京にいた。
篤史がルティナで軽井沢まで来てくれたため、車で休憩を挟みながらのんびりとしたドライブを楽しんだ。
「もう到着するよ」
篤史の言葉に湊斗と紬はわっと歓声を上げた。
「ここパパのおうち?」
「おおきい!」
「昔、住んでいた家だよ」
連れてこられたのは、篤史の実家だった。千恵も来るのは初めてだ。
『東京に来て、一度父と会ってくれないか? 会いたいと言っているんだ。もちろん、千恵が嫌なら会う必要はない』
苦しそうに話してくれた篤史の願いを聞くため、今日は覚悟を決めてここに来たのだ。
(ここが篤史さんのご実家。き、緊張する……)
子供達を車から降ろしていると、玄関から誰かが出てきた。
篤史の父、壮一郎だ。数年前に会った時よりもずっと白髪が増え、少し背筋が曲がっていたが、以前と変わらぬ厳しい顔つきをしていた。
「お、お久しぶりですっ」
千恵が頭を下げると、彼は気まずそうに目を逸らし、もごもごと口を動かした。
どう反応して良いのか分からず篤史に助けを求めると、彼は父に「ほら、言うことがあるんだろう?」と促した。
黙り込んでしまった壮一郎を見つめていると、千恵の背後から湊斗と紬がひょっこりと顔を出した。
「こんにちは! ぼくは湊斗です」
「紬です。おじさんはだあれ?」
壮一郎に近づいてお客様にするように挨拶をする二人。
すると壮一郎は目を丸くした後、顔を綻ばせた。
「私は……」
そう言いかけた壮一郎は、ハッとして言葉を飲み込んだ。
そして千恵の方を向き、深々と頭を下げた。
「千恵さん。あの時は本当に申し訳ないことをした。私は会社の状況も、息子の能力も、君の息子への思いも、全て見誤っていた。本当に……申し訳ない」
さっきまでもごもごしていたとは思えないくらいはっきりとした謝罪。
千恵は驚いて手をぶんぶんと横に振った。
「そ、そんなに謝らないでください。もう気にしていませんから」
「だが、許されないことだった。貴女の人生を滅茶苦茶にしてしまったのだから」
「もう良いですから。……ほら、湊斗、紬。この方はね、二人のお祖父様よ」
千恵が二人の肩を抱いて壮一郎を紹介すると、二人は「ほんと?」と驚いていた。
「ぼくたちにもじーじいるの?」
「やったー! じーじだ!」
自分達の祖父だと分かると、二人は壮一郎の手をぎゅっと握りしめ、ぶんぶんと振り回し始めた。
戸惑いながらも嬉しそうに微笑む彼を見ていると、千恵は本当に「まあいいか」という気持ちになる。
だから「お義父様」と声をかけた。
「お義父様の仰った通り、私には社長の妻としての器はないかもしれません。ですが彼を一番愛しています。だから相応しい器になれるよう精進しますね」
背筋を正して宣言すると、壮一郎も背筋をぴんと伸ばした。
「千恵さんはもう十分相応しい器をお持ちだ。今後とも篤史のこと、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします!」
お互いに頭を下げ合うと、壮一郎はようやく千恵を見つめる表情を和らげた。
すると背後から肩をぽんと叩かれる。振り返ると篤史が何とも言えない複雑な表情で立っていた。
「父を許してくれてありがとう。千恵は本当にすごいよ。俺はまだ心の底では許せていないのに」
「湊斗と紬のおかげです。二人がお義父様と楽しそうにしているから。……ほら」
千恵が指差した先では、壮一郎が二人と追いかけっこをしていた。
先ほどまでより随分と若返って見えるが、二人に振り回されて息を切らしている。
「おーい。じいじを困らせちゃダメよー!」
「えー? もっとじーじとあそびたい」
「じーじー。もっとあそぼ!」
「はぁっ、はぁ……。よ、よし、じゃあ家の中で遊ぼうか。美味しいお菓子もある」
壮一郎が二人を誘って家の中に入っていく。
千恵は篤史に笑いかけた。
「ね? まあいいやって思っちゃいました」
「ふっ……確かにな」
吹き出した篤史と手を繋いで千恵も屋敷へと足を踏み入れる。
屋敷の中では子供達の笑い声が響いていた。
篤史がルティナで軽井沢まで来てくれたため、車で休憩を挟みながらのんびりとしたドライブを楽しんだ。
「もう到着するよ」
篤史の言葉に湊斗と紬はわっと歓声を上げた。
「ここパパのおうち?」
「おおきい!」
「昔、住んでいた家だよ」
連れてこられたのは、篤史の実家だった。千恵も来るのは初めてだ。
『東京に来て、一度父と会ってくれないか? 会いたいと言っているんだ。もちろん、千恵が嫌なら会う必要はない』
苦しそうに話してくれた篤史の願いを聞くため、今日は覚悟を決めてここに来たのだ。
(ここが篤史さんのご実家。き、緊張する……)
子供達を車から降ろしていると、玄関から誰かが出てきた。
篤史の父、壮一郎だ。数年前に会った時よりもずっと白髪が増え、少し背筋が曲がっていたが、以前と変わらぬ厳しい顔つきをしていた。
「お、お久しぶりですっ」
千恵が頭を下げると、彼は気まずそうに目を逸らし、もごもごと口を動かした。
どう反応して良いのか分からず篤史に助けを求めると、彼は父に「ほら、言うことがあるんだろう?」と促した。
黙り込んでしまった壮一郎を見つめていると、千恵の背後から湊斗と紬がひょっこりと顔を出した。
「こんにちは! ぼくは湊斗です」
「紬です。おじさんはだあれ?」
壮一郎に近づいてお客様にするように挨拶をする二人。
すると壮一郎は目を丸くした後、顔を綻ばせた。
「私は……」
そう言いかけた壮一郎は、ハッとして言葉を飲み込んだ。
そして千恵の方を向き、深々と頭を下げた。
「千恵さん。あの時は本当に申し訳ないことをした。私は会社の状況も、息子の能力も、君の息子への思いも、全て見誤っていた。本当に……申し訳ない」
さっきまでもごもごしていたとは思えないくらいはっきりとした謝罪。
千恵は驚いて手をぶんぶんと横に振った。
「そ、そんなに謝らないでください。もう気にしていませんから」
「だが、許されないことだった。貴女の人生を滅茶苦茶にしてしまったのだから」
「もう良いですから。……ほら、湊斗、紬。この方はね、二人のお祖父様よ」
千恵が二人の肩を抱いて壮一郎を紹介すると、二人は「ほんと?」と驚いていた。
「ぼくたちにもじーじいるの?」
「やったー! じーじだ!」
自分達の祖父だと分かると、二人は壮一郎の手をぎゅっと握りしめ、ぶんぶんと振り回し始めた。
戸惑いながらも嬉しそうに微笑む彼を見ていると、千恵は本当に「まあいいか」という気持ちになる。
だから「お義父様」と声をかけた。
「お義父様の仰った通り、私には社長の妻としての器はないかもしれません。ですが彼を一番愛しています。だから相応しい器になれるよう精進しますね」
背筋を正して宣言すると、壮一郎も背筋をぴんと伸ばした。
「千恵さんはもう十分相応しい器をお持ちだ。今後とも篤史のこと、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします!」
お互いに頭を下げ合うと、壮一郎はようやく千恵を見つめる表情を和らげた。
すると背後から肩をぽんと叩かれる。振り返ると篤史が何とも言えない複雑な表情で立っていた。
「父を許してくれてありがとう。千恵は本当にすごいよ。俺はまだ心の底では許せていないのに」
「湊斗と紬のおかげです。二人がお義父様と楽しそうにしているから。……ほら」
千恵が指差した先では、壮一郎が二人と追いかけっこをしていた。
先ほどまでより随分と若返って見えるが、二人に振り回されて息を切らしている。
「おーい。じいじを困らせちゃダメよー!」
「えー? もっとじーじとあそびたい」
「じーじー。もっとあそぼ!」
「はぁっ、はぁ……。よ、よし、じゃあ家の中で遊ぼうか。美味しいお菓子もある」
壮一郎が二人を誘って家の中に入っていく。
千恵は篤史に笑いかけた。
「ね? まあいいやって思っちゃいました」
「ふっ……確かにな」
吹き出した篤史と手を繋いで千恵も屋敷へと足を踏み入れる。
屋敷の中では子供達の笑い声が響いていた。