一夜のあと、君に溺れる
「ごめんなさい、セクハラでしたか?」

「ううん、違うの。嬉しくて。それに、可愛いって言ってくれたことにも感動してる」

「え? 可愛いですよね?」

大ちゃんが千里ちゃんに同意を求めると、千里ちゃんが可笑しそうに笑いながら説明してくれる。

「もちろん可愛いよ。でもね大ちゃん、桜子さんって普段男性から、綺麗ですねって言われてるの。だから可愛いは言われ慣れてないんだと思うよ。そうですよね、桜子さん」

「うん、そうなの。だからすごく嬉しい」

「桜子さんがいると男の目線は全部桜子さんだもんなー。あー、絶対最後まで売れ残るのは私だわー」

千里ちゃんが冗談めかして嘆いた。

確かに私は綺麗だねって言われることが多い。そりゃちゃんとおしゃれにも気を使っているし、そうやって言われるのもありがたいとは思っているけれど、でも私は綺麗より可愛いって言われたい願望がある。

だけど顔立ちのせいなのか性格のせいなのか、杏子さんや心和ちゃんみたいな可愛らしさは微塵も持っていないし、千里ちゃんみたいな器量の良さも持っていない。

「……私、ポンコツなのよね」

「何を突然言い出したんです?」

「桜子さん、妄想始まってません?」

千里ちゃんと大ちゃんにツッコまれながら、私たちは会場を後にした。
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