一夜のあと、君に溺れる
お昼の料亭は、平日にも関わらずたくさんのお客さんで賑わっていた。それなのに、どうやら私のために小さめの個室を準備してくれたらしい。
個室に足を踏み入れると、外の喧騒とは懸け離れた静かな空間が広がる。窓からは柔らかな光が差し込み、青々とした中庭が見えた。風に揺られる竹の葉が、まるで時間がゆっくり流れているような錯覚を生み出す。とても素敵な空間に、心まで穏やかに染まっていくようだ。
「素敵なお部屋……」
「気に入ってくれた?」
「うん、ここで食事をいただけるの?」
「宮こし自慢の特選会席をご用意しますよ」
「嬉しい。ご挨拶に来たのにおもてなしいただけるなんて」
「みんなさーちゃんに会いたくて、はりきってるんだよ」
「そんないいものじゃないのに」
「何言ってるの。俺の自慢の彼女だよ」
真剣な顔で言われるものだから、なんだか照れてしまう。大ちゃんこそ、私の自慢の彼氏だ。だからこそ、きちんと両親に紹介したい。それなのに父は医師じゃないとダメだと言うし、高崎先生は諦めてくれないし……。
ため息が出そうになったところをぐっと堪えた。いつの間にか目の前にお料理が準備されていく。色鮮やかで繊細な料理は、視覚から魅了していくみたい。
不安や心配事のため息は引っ込んで、ほうっと感嘆の息が漏れる。それほどまでに、見事なお料理の数々。
「あー、さーちゃん。ほんとごめんなんだけど、うちの従業員にさーちゃんを紹介してもいいかな? さっきからソワソワして落ち着きがなくて」
「いいけど?」
何のことかしらと思っていると、大ちゃんが出入り口の襖をガッと開ける。とたんに、「わあっ」と声を上げながら崩れ落ちるたくさんの人。
「こちらが俺の自慢の彼女、桜子さんです」
「あの、御堂桜子です。よろしくお願いします」
「いやー、大ちゃんにこんな綺麗な彼女ができるなんてねぇ」
「めでたい、めでたい」
「羨まし……いや、お幸せにっ!」
「はい、紹介終わり。皆さん仕事してください。あ、桜子さんには指一本触れないように」
大ちゃんがしっしっと追い払いながら、襖をピシャンッと閉める。とたんに訪れる静寂に、ふふっと笑いがこみ上げた。
個室に足を踏み入れると、外の喧騒とは懸け離れた静かな空間が広がる。窓からは柔らかな光が差し込み、青々とした中庭が見えた。風に揺られる竹の葉が、まるで時間がゆっくり流れているような錯覚を生み出す。とても素敵な空間に、心まで穏やかに染まっていくようだ。
「素敵なお部屋……」
「気に入ってくれた?」
「うん、ここで食事をいただけるの?」
「宮こし自慢の特選会席をご用意しますよ」
「嬉しい。ご挨拶に来たのにおもてなしいただけるなんて」
「みんなさーちゃんに会いたくて、はりきってるんだよ」
「そんないいものじゃないのに」
「何言ってるの。俺の自慢の彼女だよ」
真剣な顔で言われるものだから、なんだか照れてしまう。大ちゃんこそ、私の自慢の彼氏だ。だからこそ、きちんと両親に紹介したい。それなのに父は医師じゃないとダメだと言うし、高崎先生は諦めてくれないし……。
ため息が出そうになったところをぐっと堪えた。いつの間にか目の前にお料理が準備されていく。色鮮やかで繊細な料理は、視覚から魅了していくみたい。
不安や心配事のため息は引っ込んで、ほうっと感嘆の息が漏れる。それほどまでに、見事なお料理の数々。
「あー、さーちゃん。ほんとごめんなんだけど、うちの従業員にさーちゃんを紹介してもいいかな? さっきからソワソワして落ち着きがなくて」
「いいけど?」
何のことかしらと思っていると、大ちゃんが出入り口の襖をガッと開ける。とたんに、「わあっ」と声を上げながら崩れ落ちるたくさんの人。
「こちらが俺の自慢の彼女、桜子さんです」
「あの、御堂桜子です。よろしくお願いします」
「いやー、大ちゃんにこんな綺麗な彼女ができるなんてねぇ」
「めでたい、めでたい」
「羨まし……いや、お幸せにっ!」
「はい、紹介終わり。皆さん仕事してください。あ、桜子さんには指一本触れないように」
大ちゃんがしっしっと追い払いながら、襖をピシャンッと閉める。とたんに訪れる静寂に、ふふっと笑いがこみ上げた。