一夜のあと、君に溺れる
指定された和食店は、初めて訪れる店だった。店に入ると、まだ高崎先生も父も来ていなかった。予約名を告げると、奥のテーブルへ案内してくれる。個室ではないけれど、隣の席との間には程よい距離があり、会話の声も他人に届きにくそうだ。
静かな照明に包まれた落ち着いた空間には、木の温もりを感じるカウンター席も並ぶ。壁には酒瓶がずらりと並び、その光景は圧巻だ。私は席に腰を下ろし、カウンターの奥に並ぶ酒瓶のラベルをぼんやりと眺めながら、高崎先生と父を待った。
しばらくすると、「お待たせしました」と高崎先生が現れた。
「父とは一緒ではなかったですか?」
「ええ、急患が入ったみたいで、遅れると連絡をもらっています」
「そうでしたか」
お父さんったら、私に連絡をくれたらいいのに。少しばかり不満に思いつつも、急患なら仕方がない。父も医師だから、患者さん優先になるのは当たり前だ。
「というわけで、先にいただきましょうか」
「そうですね。そうしましょう」
「ここは日本酒の種類が多いでしょう?」
「ええ、全国の銘柄が並んでいるのかしらと思って、ずっと眺めていました。高崎先生はこちらのお店は来たことがあるのですか?」
「何度か。おすすめの日本酒があるので、ぜひどうですか?」
「ではそれをいただきます」
高崎先生に注文をお任せすると、艶やかな酒器に注がれた日本酒が運ばれてきた。淡い琥珀色が照明を受けて煌めいている。ふわりと鼻を掠める香りは柔らかい。季節の前菜や焼き物もテーブルの上を華やかにしてくれる。お料理も繊細でとても美しい。
「乾杯しましょうか」
「はい。今日もお疲れさまでした」
コツンと小さく酒器がぶつかる。
高崎先生は慣れた様子で酒を口に運び、私はその様子を横目で見ながら、少しだけ肩の力を抜いた。
静かな照明に包まれた落ち着いた空間には、木の温もりを感じるカウンター席も並ぶ。壁には酒瓶がずらりと並び、その光景は圧巻だ。私は席に腰を下ろし、カウンターの奥に並ぶ酒瓶のラベルをぼんやりと眺めながら、高崎先生と父を待った。
しばらくすると、「お待たせしました」と高崎先生が現れた。
「父とは一緒ではなかったですか?」
「ええ、急患が入ったみたいで、遅れると連絡をもらっています」
「そうでしたか」
お父さんったら、私に連絡をくれたらいいのに。少しばかり不満に思いつつも、急患なら仕方がない。父も医師だから、患者さん優先になるのは当たり前だ。
「というわけで、先にいただきましょうか」
「そうですね。そうしましょう」
「ここは日本酒の種類が多いでしょう?」
「ええ、全国の銘柄が並んでいるのかしらと思って、ずっと眺めていました。高崎先生はこちらのお店は来たことがあるのですか?」
「何度か。おすすめの日本酒があるので、ぜひどうですか?」
「ではそれをいただきます」
高崎先生に注文をお任せすると、艶やかな酒器に注がれた日本酒が運ばれてきた。淡い琥珀色が照明を受けて煌めいている。ふわりと鼻を掠める香りは柔らかい。季節の前菜や焼き物もテーブルの上を華やかにしてくれる。お料理も繊細でとても美しい。
「乾杯しましょうか」
「はい。今日もお疲れさまでした」
コツンと小さく酒器がぶつかる。
高崎先生は慣れた様子で酒を口に運び、私はその様子を横目で見ながら、少しだけ肩の力を抜いた。