一夜のあと、君に溺れる
体に異常がないため、諸々手続きを終えて外に出た。両親とは別れ、今は大ちゃんと二人きり。駐車場までの道すがら、真夜中の空気を体いっぱいに吸い込む。冷たい空気が体を巡って、シャキッと目覚めさせてくれるようだ。

山のように自然豊かな場所でもないのに、なぜか空気が美味しいと思ってしまった。高崎先生のことが解決して、心がスッキリしているみたい。自分で思っている以上に、心が疲れていたことがわかる。

「ねえ、本当に大丈夫なの?」

さっきから、やたら大ちゃんが大丈夫かと聞いてくる。私を心配してのことだけど、ちょっとばかり過保護だと思う。こんなに元気に歩いているのにな。でも、心配してもらえるのは素直に嬉しい。

「大丈夫。寝たからか、元気いっぱい。大ちゃんこそ、大丈夫? 大変だったよね」

だって今はもう深夜なのだ。大ちゃんは私のために、ずっと付き添ってくれている。どうしたら、大ちゃんを安心させてあげられるのだろう。どうしたら、私は元気だとわかってもらえるのだろう。

手をぎゅっと握ると、その手を絡めるように引き寄せられた。

「大変とか、そんなのどうでもいいんだよ。さーちゃんが無事だったってことが、何よりも嬉しい。ようやくピンチの時に駆けつけられた」

「スーパーマンだね」

「……ピンチはないほうがいいけどね」

ふっと、困ったように微笑みつつ、大ちゃんのおでこが私の頭にコツンとぶつかる。至近距離で感じる大ちゃんの息づかいに、ドクンと心臓が揺れた。

「大ちゃん、ありがとう」

「うん」

ふと視線を上に向ければ、そのまま自然と唇が重なる。

――愛おしい

ああ、こういう時でも、こんな感情になるんだ。好きって気持ちは、きっと無限大なんだなぁ。

そんなことを思いながら、離れていく唇を目で追う。薄くて綺麗な唇は、夜の明かりに照らされて、とんでもなく色っぽい。
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