一夜のあと、君に溺れる
15.愛してる
高崎先生が懲戒免職になった話は、瞬く間に病院内に広まった。ざわついたのは最初だけで、すぐに平常通り仕事が始まる。まるで彼は最初からいなかったかのよう。
一人減った人員の穴は大きいと思うのに、先生たちは何でもないようにテキパキと業務をこなしている。看護師たちも、現状に合わせて業務をこなす。高崎先生が悪いのはもちろんのこと、私も大いに関係あるので、大反省中だ。
私にできるお詫びと言えば、真面目に働くことくらいだ。皆さんに高崎先生の業務のしわ寄せがいかないよう、ひたすらに働いた。
そんな中、看護師長の清水さんだけが、ニヤニヤソワソワしながらこちらを見てくる。あの顔は、楽しんでいるときの顔だ。案の定、終業後のロッカーで、清水さんに捕まった。
「御堂さん、大変だったみたいね」
「はい、皆様にご迷惑をおかけして、申し訳ないです」
「無事だったから言うけどさ、私は楽しませてもらったわ。話聞いたときは、どこのドラマの世界よって、思わず笑っちゃったもの」
「あ〜、ヒーローがかっこよすぎて」
「おっ、惚気か〜」
「私も、無事だったので言ってます」
顔を見合わせて、ふふっと笑う。
本当にそう、無事だったから笑えること。笑い話にできてよかったと改めて思う。
「あ、そうそう。これ、この前言ってた、イケメン御曹司が地味な女子を溺愛するっていう王道な小説」
「わっ、ありがとうございます。お借りします」
「御堂さんの話の後だと、この小説も霞むわ」
「もう、そんなわけないじゃないですか」
小説をありがたく受け取り、カバンへしまう。しばらく清水さんと談笑をしてから、ロッカーで着替えをし、外に出る頃にはすっかり空も薄闇に染まっていた。
病院の前の横断歩道を渡ると、杏子さんの経営するお弁当屋がある。営業の終了したお店は、電気も消えてもう暗い。人気のない店の前、街灯がほのかに照らすその前で、大ちゃんが空を眺めていた。
一人減った人員の穴は大きいと思うのに、先生たちは何でもないようにテキパキと業務をこなしている。看護師たちも、現状に合わせて業務をこなす。高崎先生が悪いのはもちろんのこと、私も大いに関係あるので、大反省中だ。
私にできるお詫びと言えば、真面目に働くことくらいだ。皆さんに高崎先生の業務のしわ寄せがいかないよう、ひたすらに働いた。
そんな中、看護師長の清水さんだけが、ニヤニヤソワソワしながらこちらを見てくる。あの顔は、楽しんでいるときの顔だ。案の定、終業後のロッカーで、清水さんに捕まった。
「御堂さん、大変だったみたいね」
「はい、皆様にご迷惑をおかけして、申し訳ないです」
「無事だったから言うけどさ、私は楽しませてもらったわ。話聞いたときは、どこのドラマの世界よって、思わず笑っちゃったもの」
「あ〜、ヒーローがかっこよすぎて」
「おっ、惚気か〜」
「私も、無事だったので言ってます」
顔を見合わせて、ふふっと笑う。
本当にそう、無事だったから笑えること。笑い話にできてよかったと改めて思う。
「あ、そうそう。これ、この前言ってた、イケメン御曹司が地味な女子を溺愛するっていう王道な小説」
「わっ、ありがとうございます。お借りします」
「御堂さんの話の後だと、この小説も霞むわ」
「もう、そんなわけないじゃないですか」
小説をありがたく受け取り、カバンへしまう。しばらく清水さんと談笑をしてから、ロッカーで着替えをし、外に出る頃にはすっかり空も薄闇に染まっていた。
病院の前の横断歩道を渡ると、杏子さんの経営するお弁当屋がある。営業の終了したお店は、電気も消えてもう暗い。人気のない店の前、街灯がほのかに照らすその前で、大ちゃんが空を眺めていた。