愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
『すべてを捧げる』なんて言葉はまったく彼らしくないけれど、嫌な奴だと思っていた彼に優しい一面があるのと同じで、パートナーに対しては献身的なところもあるのかもしれない。
私がまだ、深澄知隼という人を深く知らないだけで。
「だったら……教えてほしい、です」
ぽつりと呟くと、知隼さんの目が、『なにを?』と問うようにゆっくり瞬きをする。これから言おうとしていることを思うと、彼の長い睫毛が震えるのを見るだけで心臓が暴れる。
「私は〝本物の夫婦〟を知らないので……うまく振る舞える自信がありません。一年目のリカレントの時と同じで、初めての経験にきっとパニックの連続です」
でも、今はもう慌てることはない。知隼さんに叱ってもらって、目が覚めたから。訓練を重ねて、自信がついたから。
「だから、あなたに教えてもらいたいんです。私はまだ、胸を張って『すべてを捧げる』と言うことはできませんが、知隼さんのことは信頼しているし、あなたのそばにいると……安心、するから」
懸命に言葉を選んだつもりだけれど、自分の気持ちをうまく表現できたとはまったく思えなくて、じわじわ頬が熱くなってくる。
自信のなさから思わず俯くと、彼の大きな手がそっと頬に添えられる。
長い指先が軽く顎を引き上げ、下を向いていた視線が鋭い彼の瞳に捕らえられた。
「――俺が考える〝本物の夫〟は」