愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「姉にも会ってもらったし、お互いの唇の味も知った。後は、早いうちに婚姻届を出そう。それこそ、本物の夫婦になるために」
「……はい」
キスの余韻でぼうっとしながらもしっかり頷き、彼の胸に身を預けて目を閉じる。
私は結婚に夢なんて抱いていなかったはずなのに、知隼さんの口から〝婚姻届〟と言われると、くすぐったくて温かい気持ちになる。
大嫌いだった相手から愛のない結婚を提案され、デートといえばフライトの合間にハワイでショッピングをしたくらい。
一緒に住むことになって初めてキスを交わした私たちは、一般的な男女関係とはまったく違うのだろう。
それがいいことか悪いことかは別としても、知隼さんのそばにいるのが心地いいと思っている自分は確かにいて、これまで他人と暮らすなんて想像もできなかった私には新鮮な感情だった。
*
彼の家で暮らすようになって二週間余りが過ぎた。
生活リズムはあまり合わないけれど、婚姻届を提出する準備を着々と進め、休みが重なった日に揃って区役所に提出しに行った。
証人欄にサインしてくれたのは、美空さんと露木さんだ。
おしどり夫婦のふたりが証人なってくれたことで、私たちの結婚生活も明るいものになればいいな……。
知隼さんには黙っていたけれど、私はひとり、ゲン担ぎのようにそんなことを思っていた。