愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
それから数日が経った、ある日の仕事終わり。
「いや~、確かに私も『試しに結婚してみるのもいいかもね』とは言ったけど、まさかホントに深澄さんと夫婦になっちゃうなんてびっくりよ」
「ちょっと梨沙子。ここであまりその話は……」
ロッカー室で着替えている最中に梨沙子が口を滑らせ、彼女の口を塞ごうとしたその直後。
嫌な予感は的中し、ロッカーの向こうから制服姿のCAふたりがバタバタとこちら側に回ってきた。
ひとりは、何度か私を合コンに誘ってきたことのある先輩。そしてもうひとりは、以前、機内のクルーレストでヘアセットを手伝ってあげた後輩だった。
「いま、ものすごく気になる話が聞こえたんだけど……」
「七里さん、深澄さんとご結婚されたんですか……!?」
ふたりから同時に詰め寄られる私を見て、梨沙子が口パクで「ゴメン」と言いながら両手を合わせる。
説明するのが面倒ではあるけれど、こうなったら仕方がない。いつまでも隠しておけるものでもないだろうし。
「実は、そうなんです……。でも、あまり言いふらさないでいただけるとありがたいです。仕事がやりにくくなりますので」
私は切実な口調で言った。なにせ、相手は社内中の女性たちの視線を集める〝スカイイーストの至宝〟。
結婚のことを知ったら、私に対してあまりよくない感情を抱く人たちもいるかもしれない。