愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「そんな弱々しい声で説明されても、まったく説得力がない。とりあえず、ベッドに運ぶぞ」
「いえ、自分で歩けま――」
気づいたら目の前に屈んでいた知隼さんが、私の体をひょいと横抱きにする。急に自分の体が浮いたことに戸惑い、思わず近くにあった彼の首につかまる。
「あ、あの、まだ靴を脱いでなくて」
「そんなことは後でいい。お前を寝かせてから脱がす」
大股で廊下を移動した彼は体を使って私の部屋のドアを開け、ベッドを一直線に目指す。
抱き上げられて寝床まで運んでもらうなんて、子どもの頃でさえあまり経験のないことなので、恥ずかしくて仕方がない。
膝からぎしりとベッドに乗った彼が、私の体をそっと下ろす。それから先ほどの言葉通りに、パンプスを脱がせてくれた。
片手にパンプスを持った彼が、気づかわしげに私の顔を見下ろす。
「なにか欲しいものは? 水か? それとも腹が減ってるか?」
「えっと……とりあえず、大丈夫です」
「本当か? つまらない遠慮をしているなら怒るぞ」
ひゅっと目を細めた彼にそう言われ、私は迷いながらも口を開く。
「えっと、じゃあ……お水を」
「最初からそう言え。靴を置いたら持ってくる」
穏やかな表情に戻った彼は、スタスタと部屋を出て行く。
ベッドに寝かせてもらえば多少楽になるかと思ったが、頭も体も重いまま。寝返りを打つのもしんどい。
とりあえず目を閉じて不調をやり過ごそうとすると、一気に意識が暗いところへ引きずり込まれる感覚があって、私はいつの間にか眠っていた。