愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中

 それでも今は出勤前というタイミングなので深いキスは自重するが、先日、体調不良だった彼女を看病したお礼にと、綺美の方から不意打ちで短いキスをされた時は、我を失いそうになった。

 彼女を振り向かせたとは、まだ言い難い。

 それでも、恋愛に不器用な彼女なりに、俺の心に近づこうとしてくれているのがわかったから……その健気さを愛おしく思い、胸が潰れそうになった。

「……そろそろ行く」

 ちゅ、と音を立てて最後の口づけを終えると、彼女が恥じらうように瞬きを繰り返す。

 こうしてキスを交わせるようになっただけでも幸せだと思うが、俺と彼女が抱く想いを比べたら、まだまだ俺の方が何倍も大きいだろう。

 焦る必要はないと思うが、時折もどかしくなる。欲張りな願いだとはわかっているものの、綺美の方からももっと、俺を求めてほしいのだ。


 空港に着いて制服に着替えると、フライト情報や天候に関する情報が一手に集まるオペレーションセンターへ向かう。

 たくさんのモニターに囲まれたその場所で、運行管理者、いわゆるディスパッチャーを交えながら、機長とフライト前のブリーフィングを行う。

 スカイイーストは日本で三本の指に入る大手航空会社であるため、抱えているパイロットの数も二千人を超える大所帯。 

 その全員が羽田を拠点にしているわけではないが、その人数の多さから、フライトごとに初対面の機長とペアになるパターンも、決して珍しくはない。

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