愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中

 綺美も苦手だと話していたが、国内線フライトは国際線に比べてかなり忙しない。現地に到着してほんの少しの休憩を取った後、またすぐに乗客を乗せて、羽田に戻らなくてはならない。

 家で退屈な時間を過ごしているであろう綺美にお土産でも買ってやりたいところだが、そんな暇もなく、先ほどのフライトと同じクルーと共に、羽田へと飛び立つ。

 機長の裁量で、復路は俺が操縦を担当することになった。

 離陸後、ギアを収納し機体の姿勢が安定してきたところで、オートパイロットのボタンを押して自動操縦に切り替える。

 機長から離陸に関してのダメ出しやアドバイスがあればこのタイミングで言われることが多いので、自動操縦とはいえやや緊張していたその時。

 左手の機長席から、意外な質問が飛んでくる。

「きみのお父さんは、あの深澄鷹矢(たかや)さんだと聞いたんだが本当か?」
「えっ? ……ええ。父をご存じなんですか?」

 機長は当然だというように深く頷く。

「ああ、スカイイーストのベテランパイロットならあのインシデントを知らない者はいない。若手だって講習で必ず教えられるはずだ。深澄鷹矢さんは、まだ副操縦士だった頃に難しい胴体着陸を成功させた伝説のパイロットだと。きみは生まれていなかったから知らないだろうが、当時は連日英雄のように報道されていたんだよ。そういえば、お母様も整備士だったとか」

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