愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「はい。あの機体のライン整備には母も関わっていて、父が無事に着陸できるかどうか、整備士仲間と共に地上で見守っていたそうです。まったく生きた心地がしなかったと」
「なるほど、それはさぞ心配だっただろう。しかし、あの深澄さんの息子とフライトを共にできるとは光栄だよ。ご両親によろしく伝えてくれ」
機長はそう言って、にっこり微笑んだ。
寡黙に見えて意外と親しみやすい人だったらしい。その人間味に思わずこちらの緊張も緩み、「必ず伝えます」と笑みをこぼす。
しかし、いくら親が立派なパイロットだったからといって、父の有能さが息子に遺伝するわけではない。親の七光りだと思われないよう、俺も精進しなくては。
大きく深呼吸をし、前方の計器になにげなく視線を走らせたその直後だった。
突然、コックピットに警報音が鳴り響き、警告表示画面にメッセージが現れる。即座に緊張感が走るが、落ち着いてメッセージを読み上げる。
「……速度情報不一致」
「確認しよう。私の方は正常。予備計器とも一致している」
センサーの不具合か、機体の外についているピトー管が凍ってしまったか、異物が詰まっているか……。
安全のためにオートパイロットが自動で解除され、俺は再び操縦桿を握る。
「I have control.」
「You have control.」
機長との役割を明確にすると、俺は操縦に集中して機体の姿勢と高度の維持に努める。