愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「あ、七里さん。今日のフライトもお疲れ様」
スツールから下りようか悩んでいたその時、深澄さんの隣にいた男性がひょこっと顔を出して微笑んだ。
深澄さんと同じく今日のフライトの操縦を担当していた、機長の露木太陽さんだ。
同じイケメンでも深澄さんはクールなネコ科動物の印象で、露木さんは親しみやすいイヌ科動物系。
性格も優しく穏やかで、三十六歳という年齢相応の余裕を感じる。
彼のことは素直に尊敬しているので、軽く上げていたお尻を椅子に戻してぺこりと頭を下げる。
「お疲れ様です、露木キャプテン。今日もお世話になりました」
「……俺に挨拶は?」
深澄さんが口を挟んでくるが、あえて無視した。
「最上さん、ネグローニをください」
「オッケー。ちょっと待ってな」
最上さんに一杯目を注文すると、横でカウンターに頬杖を突いた深澄さんが、軽くこちらを睨んでくる。
「……なんですか?」
「別に。人の真似をするなと思っただけだ」
「真似?」
聞き返しても深澄さんはなにも答えてくれず、切れ長の鋭い目で私をジッと見る。
彼のダークブラウンの瞳には薄暗い店内に浮かぶ星々が映り込んでいて、小さな宇宙のよう。嫌いな相手なのに、綺麗すぎるその目に吸い込まれてしまいそう。