愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「ほら、そこの見つめ合ってるおふたりさん。できたぞ、ネグローニ」
最上さんの声で我に返り、深澄さんからパッと目を逸らす。
「別に、見つめ合ってなんか――」
「ありがとうございます」
両手に同じカクテルを持っていた最上さんの手から、彼がひとつ受け取る。
口の広いロックグラスに深い赤色のお酒が注がれ、オレンジスライスが添えてあるそれは、私に差し出されているものとまったく同じネグローニだった。
だからさっき『真似をするな』って言ってたのか……。
「ふたりとも、そんな苦いカクテルが飲めるなんて大人だなぁ。俺はもっぱらジュースみたいなやつしか飲めないのに」
のんびりとした口調で、露木さんが感心している。彼の手元には、背の高いタンブラーがひとつ。
濃い夕焼けのような色をしたカクテルは、おそらくカシスオレンジだろう。
確かに、ビター系のリキュールが使われているネグローニには苦味がある。その苦味とオレンジの爽やかな香りがとても合うので、私は大好きなのだけれど。
「太陽さんはそこがかわいいって、いつも姉が惚気てますよ」
「えっ? 本当に? 同じ会社に義理の弟がいると、なんでも筒抜けで照れるな」
義理の弟……?
私はグラスに口をつけながら、露木さんの発言に軽く首を傾げた。