愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中

 思わず長めに息を吐いていると、機長にポンと肩を叩かれる。

「Good job! さすがは鷹矢さんの息子だ。着陸のうまさは引けを取らないな」
「ありがとうございます」
「しかし、気を抜くのはまだ早い。これから報告祭りだからな。忙しくなるぞ」

 機長がおどけた様子で微笑む。一度フライトを共にしたからだろうか。出発時とはもはや別人のように陽気だった。

 きっとこっちが素顔なのだろう。

「ラジャー。勉強させてもらいます」

 そう返事をした直後、さっそくトラブルの聞き取りのために整備士がコックピットに上がってくる。

 早速始まった報告祭りに戦々恐々としつつ、俺は機長と共に当時の状況を一から説明するのだった。


 口頭での報告だけでなく、トラブルに関連するいくつもの書類作成に追われため、マンションに帰ることができたのは夜になってからだった。

 疲れた体で玄関のドアを開け、「ただいま」と呼びかける。

 すると、靴を脱いで廊下に上がったところで、リビングダイニングのドアが勢いよく開く。綺美は誰かと電話中たったらしく、スマホを耳に当てていた。

「か、帰ってきた……」

 俺に言っているのか、電話の相手に言っているのかはわからない。

 しかし、俺を見つめる瞳が次第に潤んでくる。泣かせるようなことをした覚えはないので、俺は軽く狼狽えた。

 まさか、またあのストーカーじみた男関連でなにかあったのか……?

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