愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「うん。ありがと。じゃあまた……仕事で」
綺美は通話を終えると、スマホをルームウエアのポケットにしまう。それから、唇を軽く震わせたかと思うと、ギュッと目を閉じて俺の胸に飛び込んできた。
突然の抱擁にますます戸惑った俺は、抱きしめ返すのも忘れて綺美の頭を見下ろす。
「どうしたんだ、いったい」
「どうしたんだ、じゃないでしょう……! 帰りが遅いからどうしたのかと思ってたら、空港にいた友達のCAから、あなたの乗ってる便がPAN-PANコールしたって聞いて……なにかあったら、どうしようって……!」
涙声で語った彼女の小さな拳が、俺の胸をドン、と叩く。まさか綺美がこんなに取り乱すとは思わず、空港を出る前に連絡のひとつすら入れなかったことを、今さら後悔した。
俺は彼女の背中に腕を回し、ギュッと力を込めて抱きしめる。
「心配かけて悪かった」
「……ダメ。謝罪があっさりしすぎてるから、許す気になれません」
俺の胸に顔を擦りつけ、綺美がかぶりを振る。
どこかで聞いたようなセリフだと思い、すぐに思い当たる。そして、彼女がなにを求めているのかも。