愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「だから、深澄さんの普段の行動に愛があるなら、もう少し待ってみてもいいんじゃない?」
「そっか……。いや、でも元々ちゃんと愛がある梨沙子たちとはやっぱり違う気もするんだよね。だからといってそれを本人に問いただす勇気なんて私にはないし……」
「綺美が男の人のことでこんなに悩んでるなんて新鮮。こないだ深澄さんのフライトでトラブルがあって電話した時もかなり彼を心配して焦っていたし。すっかり恋に落ちちゃったんだね~」
梨沙子の冷やかしを否定することもできず、カウンターに肘をついて頭を抱える。
その時、コーヒーの隣に置いていたスマホが短く震え、新着メッセージの通知が現れた。
送り主は、お馴染みのハヤブサアイコン知隼さんだ。
【話が盛り上がっているようだから、邪魔しない方がいいか?】
えっ。まさか、近くにいるの……!?
とっさに後ろを振り向くと、二~三メートル離れた距離に、秋らしいベージュのコートに黒のセーター、スラックスといういでたちの彼が立っていた。
傍らにはキャスター付きのフライトバッグがある。
「深澄さん、お疲れ様です。……じゃあ綺美、私は帰るね。健闘を祈る」
「えっ。梨沙子。ちょっと待っ……」
引き留める声もむなしく、梨沙子はニコニコと手を振りながらカフェを出て行ってしまう。
入れ替わるように歩み寄ってきた知隼さんは、私の抱える気まずさなど気にも留めていない様子だ。