愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「帰れるか? もう少しゆっくりしていくなら、俺もコーヒーを頼むが」
「だ、大丈夫です。帰れます」
カップの底に残っていた少量のコーヒーを飲み干し、席を立つ。
ふたりでカフェを出てからも、知隼さんの様子に目立った変化はない。
メッセージの内容から考えるに、私と梨沙子の声だけが断片的に聞こえて、会話自体を聞いていたわけではないのかな。
それならそれで安心だと思う一方、いっそ聞かれていた方が、彼との関係が変化していたかもしれないとも思う。
いい方向にか悪い方向にかは、わからないけれど……。
「夕食はまだだろ? どこかに寄るか、それとも買い物して帰るか……」
日常の空気を纏う彼に合わせ、私も照れくさい空気を払拭するように笑いかける。
「家でゆっくり食べたいので、なにか買って帰りましょう」
「賛成。そうしよう」
空港を出て電車に乗ると、同じように仕事終わりの乗客で混雑していた。
知隼さんがさりげなく私を囲うようにして、ドアのそばに立つ。少し上を向いただけで彼のシャープな顎のラインがすぐそばにあり、ドキドキしてしまう。
視線に気づいた彼が微かに「ん?」と呟いて首を傾げたが、私はふるふると首を左右に振って、なんでもないとアピールした。