愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「姉によると、すぐ照れるところもかわいいそうです」
「そ、それくらいにしといてくれ知隼くん。義兄をあまりからかうものじゃないよ」
カシスオレンジを少ししか飲んでいないはずの露木さんが、真っ赤になっている。
仕事中は頼りになるキャプテンなのに、プライベートではこんな意外な一面もあったらしい。
それにしても、このふたりの関係って……。
「あの、聞こえちゃったんですけど……露木キャプテンの奥様って、深澄さんのお姉さんなんですか?」
思わずカウンターに身を乗り出し、話に割り込んでしまった。
露木さんが、照れくさそうに首の後ろをなでる。
「あ、ああ。会社ではあまり知られてないけど、実はそうなんだ。知隼くんのお姉さんとは、小学校の頃からの同級生でね」
「すごい……! もしかして、初恋を実らせたんですか?」
愛のない家庭で育った私には衝撃的すぎて、ぱちぱちと目を瞬かせる。
自分には縁がないというだけで、純愛って、あるところにはあるんだな……。
「まぁね。でも、それほど珍しいかな? ふたりにも初恋の思い出くらいはあるだろ?」
爽やかな微笑みで問いかけられ、飲んでいたネグローニの苦味がやけに強くなる。
残念ながら、世の中露木さんのように素敵な縁に恵まれた人間ばかりではないのだ。