愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「ありません」
「ないですね」
返事をするタイミングが、まるっきり深澄さんとかぶった。答え方こそ違ったものの、回答内容もまったく同じだ。
「真似しないでくださいよ」
「それはこっちのセリフだ」
再びにらみ合う私と深澄さん。露木さんは、気まずそうに苦笑した。
「そ、そうか。なんかごめん」
露木さんはなにも悪くないので、なんだか申し訳なくなる。どうにか会話を繋がなくては。
「……いえ。恋愛に興味が持てないのは、自分が育った家庭環境のせいだとはわかっているんです。なんで結婚したんだろう?って思うくらい仕事第一の両親で、家事も育児も押し付け合うような人たちでしたから。ひとりで生きる方が絶対に気楽じゃんって、子どもの頃から思ってました」
そう言ってため息を吐くと、カウンターがしんと静まり返る。
沈黙を避けたつもりが、もしかして余計に暗い空気にしてしまった……?
「ふうん。うちの両親と足して二で割ってほしいくらいだな」
ボソッと呟いたのは深澄さんだ。涼やかな目がちらりとこちらに向けられる。
「連絡なしに実家に帰ったりすると、父の腕の中に母が抱きしめられる形でちょこんと座って、ナチュラルにテレビを鑑賞したりしている。幼い頃から見てきた光景とはいえ、今はふたりともいい年だからこっちがぎょっとする」
「それもすごいですね。露木さんのお宅も、深澄さんのご実家も、愛に満ち溢れているんだなぁ……羨ましい」