愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
「さっき、恋愛に関して愚痴っぽいことを言っていただろう。もっと吐き出したいことがあるんじゃないか? どうせほかに話し相手もいないだろうから、聞いてやる」
彼はグラスを掴んでいた手を下ろしてカウンターに置くと、私の手を解放する。それから、椅子を軽く回転させてこちらを向き、頬杖を突く。どうやら傾聴モードに入ったようだ。
「……どうせ、笑ったり馬鹿にしたりするんでしょう。だいたい、私の恋愛話なんて、さっき話した内容がすべてですよ。人生で一度も、誰のことも好きになったことがないんですから」
「人生といったって、お前はまだ二十五かそこらだろう。これから大恋愛が待ち受けている可能性もあるんじゃないか?」
「ないです。むしろ、男の人全般がうっすら嫌いですもん」
「えっ。じゃあ綺美ちゃん、俺のことも……?」
カウンターの向こうで、最上さんが流れ弾に当たったかのように胸を押さえる。
私は軽く笑って首を左右に振った。それからグラスに口をつけ、中身を空にして最上さんに差し出す。
「嫌いだったらこうして何度も飲みに来ませんよ。お代わりください」
「ああよかった。っていうか、嫌いなのは知隼くんだけなんじゃないの?」
最上さんが、顎をしゃくって深澄さんの方を示す。
私は隣に居る彼の憎たらしいほど整った顔をジッと見て、こくんと頷いた。